SMCラボラトリーズからのお知らせや新着情報を発信します。
癌モデルにおいて腫瘍の微小環境を含めて評価が可能な肝臓同所移植モデルの新規提供開始をお知らせします。 医療の進歩に伴う寿命の延長により癌患者の死亡者数は増加の一途を辿っています。 そのため、治療薬開発の需要は高く、多くの臨床試験が実施されていますが、前臨床試験での成功に反して、臨床試験での成功には大きな壁見られます。 原因の一つとして、ゼノグラフトモデル使用の影響が考えられます。 ゼノグラフトモデルは癌研究を行う際、細胞株の利用により簡便に目的の癌腫に対する薬効評価を行うことが可能です。 しかしながら、ゼノグラフトモデルを用いた前臨床試験と臨床試験の結果における相関関係は低いことが報告されています(Johnson et al., Br. J. Cancer., 2001)。 そこで注目されるのが、同所移植モデルであり、このモデルでは腫瘍を取り巻く環境を含めた評価が可能となっています。 腫瘍微小環境の重要性については過去に報告がされており(Min et al., Curr. Opin. Genet. Dev., 2008)、腫瘍細胞と組織特異的間質細胞との相互作用は、腫瘍の成長、分化、および薬剤感受性に影響を及ぼすことも報告されています(Douglas et al., Nat Med. 2010)。 同所移植モデルでは比較的安価に腫瘍微小環境の影響を含めた試験が可能となり、ゼノグラフトモデルよりも有益な結果を得られることが期待されます。 お手持ちの化合物を評価する際に、まずは同所移植モデルを用いて効果の確認を行うのはいかがでしょうか。
5月21日から23日にDDW2021にて、当社クライアントによる発表がありましたので、ご紹介します。 詳細は、下記のURLをご覧ください。 https://ddw.org/attendee-planning/online-planner/ Poster #Sa373 BOFUTSUSHOSAN, A TRADITIONAL JAPANESE MEDICINE, MAINTAINS THE GUT MICROBIOME AND AMELIORATES PROGRESSION OF LIVER DISORDER IN DIABETES INDUCED NASH MODEL MICE Institution: Hokkaido University (Japan)
– 第81回米国糖尿病学会にてNASH-HCCマウスの新しいデータを発表予定 当社は、本年6月25日から29日に開催される第81回米国糖尿病学会(American Diabetes Association)学術集会において、「Integrated Physiology」カテゴリーでの発表にアブストラクトが受理されたことをお知らせします。ポスターはジャーナルDiabetes®にもオンラインで公開されます。 タイトル;RNA-seq Analysis of Liver from Diabetic and NASH Model Mouse Treated with Streptozotocin, High-Fat Diet NASHは、糖尿病を背景に脂肪肝、肝炎、線維化、そして最終的には肝癌に至る疾患であり、全世界的に健康上の重要な問題となっています。NASHに対する治療薬は、まだ開発されておらず、臨床相関性の高いマウスモデルが求められております。2型糖尿病を背景に持つNASHモデルマウスとして、当社が開発したSTAMマウスがあります。当社はSTAMモデルマウスの各病態での新たなデータを取得しました。本研究は、採択率の厳しいADAへ応募し、ポスター発表に採択されました。
2021年5月21日にニューサイエンス社より発刊された「月刊細胞 2021年6月号」のIndustrial Info.に、当社NASHモデルマウスの記事”世界初のNASH-肝癌動物モデル-STAM™マウスの開発とその非臨床薬効評価試験における利用と大手海外製薬企業、アカデミアによるその活用実績”が掲載されました。 詳細は、ニューサイエンス社のウェブサイトをご覧ください。 月刊「細胞」2021年 6月号 ゲノム編集による新しいモデル動物 – 北隆館WEBサイト (hokuryukan-ns.co.jp)
当社顧客であるオーストラリアのAmplia Therapeutics社からSTAM™マウスモデルを用いた薬効評価試験の結果が公表されました。 詳細は、Amplia社のプレスリリースをご覧ください。 https://www.ampliatx.com/site/PDF/fd3f2d1f-9d2b-4fff-a6ad-13a3ea8d4956/ATXFAKInhibitorsReduceFibrosisinAnimalModelofNASH
イスラエルのChemomab社は、2021年4月26日NASH治療薬 『CM-101』の第2a相試験への最初の患者の登録を発表しました。 詳細は、下記のURLをご覧ください。 https://www.prnewswire.com/news-releases/chemomab-announces-enrollment-of-first-patient-in-phase-2a-study-of-cm-101-in-non-alcoholic-steatohepatitis-nash-301276524.html?tc=eml_cleartime CM-101は、CCL24に対する抗体です。同化合物は、非臨床試験でSTAM™マウスモデルを使用しており、STAM™マウスモデルにおいてNASHおよび線維化を改善したことをJHEP Reports誌で報告しています。 https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2589555919301582 今後、CM-101のさらなる臨床試験の結果が得られることにより、STAM™マウスモデルのNASH臨床予測モデルとしてのエビデンスが得られると考えられます。
本日は肝硬変の疾患モデル動物として広く知られているCCl4誘発肝線維症モデルを紹介します。 CCl4誘発肝線維症モデルは、肝臓の門脈域周囲に架橋性線維化を形成するモデルです。 当社STAM™モデル(NASH-HCCモデル)が、軽度の肝線維症を発症する一方で、本モデルは肝硬変様の強い線維症を発症します。 また陽性対照薬としてバルサルタンを設定し、薬効評価試験を提供しております。 その試験期間は4週間と短期間であることから、線維化に対するin vivoスクリーニング試験にもご活用いただける有用なモデルであると言えます。 SMCではCCl4モデル以外に、STAM™モデルや胆管結紮(BDL)誘発性胆汁うっ滞性肝疾患モデル、急性肝炎モデルなど様々な肝疾患関連モデル動物をご用意しております。 資料請求やご質問等ございましたらお気軽に連絡ください。
本日は、当社NASH-HCC (STAM™)モデルのHCC関連データを紹介します。 今日における肝細胞癌(HCC)の原因は、B型・C型肝炎ウイルス感染に由来する慢性肝疾患ですが、近年の治療法進歩によりウイルス感染に由来するHCC患者は、今後、減少すると考えられています。 一方で、生活習慣の変化に伴いNAFLDおよびNASH患者が増加し、それらに由来したHCC患者の増加が懸念されています[1]。 HCCの発癌メカニズムには、様々な分子生物学経路が関与しています。 今回は、主要経路の1つであるWnt/β-catenin経路について、当社STAM™モデルにおける遺伝子発現データを紹介します。 ヒトHCCでは、しばしばβ-catenin遺伝子の変異が生じており、その下流シグナル活性化が報告されています[2]。 当社にて取得したRNAseqデータを用いて、STAM™モデルにおけるβ-cateninおよびその下流シグナルの遺伝子発現を解析致しました。 また本モデルのHCCフェーズでは、半数の個体にβ-catenin遺伝子の変異が認められました。 そのため、Wnt/β-catenin経路においてヒトと同様の遺伝子発現パターンを示すことから、STAM™モデルはHCCに対する薬効を検証する上で有用なモデルの一つだと言えます。 HCC研究では、単一モデルだけではなく複数モデルを組み合わせた研究が不可欠であると考えられています。 現在、癌領域の研究をご検討されている場合、本モデルを癌領域の研究に活用するのはいかがでしょうか。
アメリカのCohBar社は、2021年3月29日 NASH治療薬候補 『CB4211』 が第1b相臨床試験への登録を完了したと公表しました。 詳細は、CohBar社のプレスリリースをご覧ください。 https://www.cohbar.com/news-media/press-releases/detail/143/cohbar-completes-enrollment-in-the-phase-1b-clinical-trial CB4211は、ミトコンドリアゲノム由来ペプチドです。同化合物は、非臨床試験でSTAM™マウスモデルを使用しており、STAM™マウスモデルにおいてNAFLD Acitivty scoreを改善したことをAASLD2017で報告しています。 詳細は、下記のポスターをご覧ください。 https://d1io3yog0oux5.cloudfront.net/_5d5dcdc70c99e7f58b471e2c6fdcbb2c/cohbar/db/391/2665/pdf/Cundy+et+al+2017+AASLD+Liver+Meeting+Poster+%232010.pdf 今後、CB4211のさらなる臨床試験の結果が得られることにより、STAMTMマウスモデルのNASH臨床予測モデルとしてのエビデンスが得られると考えられます。
片側尿管閉塞(UUO)モデルにおけるポジティブコントロールとしてALK5 inhibitorを設定致したので紹介します。 ALK5 inhibitorは、腎線維化において中心的な役割を担うTGF-beta/ALK5シグナルの阻害効果を持つ化合物になります。 弊社UUOモデルでALK5 inhibitorを用いて、線維化について解析を行った結果は以下の通りです。 ALK5 inhibitorはUUOモデルにおいて腎線維化の有意な減少を示し、この改善効果を再現良く確認しております。 UUOモデルは腎臓での強い線維化と短期間での病態発症を特徴として、腎線維化のスクリーニングに適したモデルとなっております。 また、尿細管の拡張、萎縮など尿細管間質領域の病変も示すため、線維化及び腎臓疾患に対する候補化合物をお持ちでしたら、UUOモデルを用いた試験をご検討してはいかがでしょうか。