SMCラボラトリーズからのお知らせや新着情報を発信します。
本日は、線維化に着目して医薬品開発を行い、当社でマウスを用いた前臨床試験を実施後に、その研究結果をNature Biotechnology誌に投稿された、Insilico Medicine社様の論文をご紹介致します。 こちらの論文ではAIを用いてTRAF2- and NCK-interacting kinase (TNIK) を抗線維化のターゲットと特定し、肺、皮膚、腎臓の線維化モデル動物を用いて前臨床試験を実施し、臨床試験まで進まれた結果が記載されております。 上記の様に複数臓器に渡る線維化に対して、同一化合物がその治療効果を示していることが見られます。 これまでも線維化に関わる治療薬開発において、肝臓、肺、腎臓、腸、皮膚など複数臓器に渡って同一化合物を評価し、その中で特に有望な疾患に対する開発を進められた企業様もいらっしゃいます。 こういったご依頼を頂ける理由としては、当社が特に炎症・線維化疾患の病態評価に注力して1,000を超える企業様と試験を実施してきたことによる実績と経験によるものと考えております。 前述のように炎症・線維化を中心とした病態評価を多数経験し、関連因子や病態の評価経験が豊富にあることから、お客様が開発されている化合物に適切な試験デザインのご提案が可能です。
本日はSTAM™マウスを用いた、腸肝軸に着目したMASH薬効評価試験の例をご紹介いたします MASH患者ではマイクロバイオームの変化やLeaky Gutなどが示されています(Lixin et al., Hepatology, 2012; Jay et al., CMGH, 2015)。 実際にMASHマウスモデルを用いた解析からLeaky Gut、細菌の異常増殖、腸内毒素症などの腸肝軸の機能障害が、炎症や線維化の進行に寄与することが示されています(Samuele et al., Hepatology, 2013; Lau et al., BioMed Res. Int.,2015)。 これらのことから、腸肝軸に着目したMASHの治療および予防研究が進められております。 STAM™マウスは、Atopobium spp., Bacteroides spp., Bacteroides vulgatus, Bacteroides acidifaciens, Bacteroides uniformis, Clostridium cocleatum, Clostridium xylanolyticum, Desulfovibrio sppの増加を特徴とするdysbiosisを示すMASH-肝癌モデルです(Guoxiang X et al, Oncotarget, 7, 19355-19366, 2016)。 また、STAM™マウスは、現在までに報告されているdysbiosisを伴うMASH-肝癌モデルの中では、唯一MASH-肝癌病態を再現したモデルであり、このモデルを使用することで脂肪肝から肝癌まで幅広く評価することが可能になります。実際にFMTおよびインスリン投与により、腸内細菌叢の改善を介した発癌の抑制が報告されております(Soeda K et al,…
当社の強皮症(SSc)モデル、ブレオマイシン誘導性SScモデルマウスを用いた、Mesenchymal stem/stromal cell-derived small extracellular vesicles (MSC-sEVs)の薬効評価試験例をご紹介いたします。 Title: An Assessment of Administration Route on MSC-sEV Therapeutic Efficacy ( Zhang B et al., Biomolecules. 2024 ) Article Link ► [DOI: 10.3390/biom14060622] 本研究において、当社はSScモデルにMSC-sEVsをi.p.またはs.c., 局所投与し、HE染色による真皮や脂肪層の厚さや、マッソントリクローム染色により皮膚の線維化領域を評価しました。 その結果、MSC-sEVs投与群では、対照群および陽性対照(イマチニブ)群と比較して、皮膚の線維化が有意に抑制されることが分かりました。 本研究のように、当社ではMSC-sEVsをはじめとした細胞治療法の薬効評価研究や、皮膚の線維化や強皮症の基礎研究にSScモデルを用いることが可能です。 当社SScモデルは、病態が均一に誘導されるよう弊社独自の方法でBLMを投与しております。 詳細についてはこちらをご覧ください ▶▶▶ 【 SScモデルについて 】 当社SScモデルやその他の線維化モデル、受託実績にご関心やご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。
当社クライアントがProc Natl Acad Sci U S A.誌に投稿された論文についてご紹介いたします。 著者らはSTAM™マウスは肝がんモデルマウスとして最も適していると報告しております。 Title: Integrative genomic analysis of mouse and human hepatocellular carcinoma Dow, et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2018 本論文では、肝がんフェーズのNASH-HCCモデルマウス (STAM™モデル)の肝臓サンプルを用い、ヒト肝がん患者の肝臓サンプルと比較したトランスクリプトーム解析を実施しております。興味深いことに、STAM™モデルの肝がんは、他の肝がんモデル(MUPモデル, TAK1モデル, DENモデル)と比較して、ヒトの分子パターンに最も近いことが報告されました。 肝がんに対する薬効評価試験をご検討中であれば、弊社STAM™モデルを、ぜひご一考いただければ幸いです。 当社ではお客様の化合物やご要望に合わせて、肝がんの予防試験や治療試験など、試験デザインを提案することが可能です。 また、本論文のように、基礎研究でのご利用を目的としてSTAM™モデルの肝臓やがん組織, 血漿サンプルなどをご購入いただいて解析していただくことも可能です。 STAM™モデルの利用にご興味ある場合は、是非お問い合わせください。
本日はSTAM™マウスを用いた、GLP-1に着目したMASH薬効評価試験の例をご紹介いたします。 GLP-1といえば、肥満症治療薬としてFDAに承認されたウゴービ®(Semaglutide)は、GLP-1 receptor agonistです。SemaglutideなどのGLP-1 receptor agonistは糖尿病治療薬として開発されてきましたが、上記のような肥満症やMASH(NASH)への適応拡大も期待され、創薬研究が進められてきました。 GLP-1をターゲットとしたMASH創薬研究において、STAM™マウスはGLP-1をターゲットとしたLiraglutide, Linagliptin, DA-1241, APD668といった薬剤の評価実績があるモデルです。 様々な薬剤の評価実績があるSTAM™マウスを用いることで、Liraglutide, Linagliptin, Sitagliptinといった上市品とhead-to-headで比較することができます。また、SemaglutideのMASH治療薬としての適応拡大を検討するなどの用途が可能です。 以下に、GLP-1関連MOAに関するMASH薬効評価試験の投稿論文リストを記載いたしましたので、ご参考にご覧ください。 投稿論文リスト – STAM™マウスを用いたGLP-1関連MOAの薬効評価試験(ターゲット別)- ■GLP-1 receptor agonist - 【Liraglutide】:Kojima M et al, Int J Mol Sci, 2020 ■DPP-4 inhibitor - 【Linagliptin】:Klein T et al, Med Mol Morphol, 2013 - 【Sitagliptin】:Kawaguchi T et al., Liver Cancer, 2018 - 【Sitagliptin】:Nishina S et…
AdiponectinやadipoR1 , adipoR2などをMOAとした、MASH治療薬開発における非臨床試験についてご紹介いたします。 adiponectin-derived peptide ALY688のSTAM™マウスを用いた薬効評価試験の実証例 ►The adiponectin‐derived peptide ALY688 protects against the development of metabolic dysfunction‐associated steatohepatitis – Huang – 2024 – Clinical and Translational Science – Wiley Online Library (Zhe Huang et al., Clinical and Translational Science, 17, e13760, 2024) PMID: 38847320 本論文は、アメリカのAllysta Pharmaceuticals社の研究チームにより、Clinical and Translational Science誌にて発表されたものです。 STAM™マウスのほかCDAHFDモデルマウスも用いて、ALY688の薬効評価試験を行っております。 これらの試験から得られたデータをもとに、ALY688のanti-NASHおよびanti-fibrosis効果について報告しています。…
開発中の治療薬が、炎症や線維化など複数臓器で生じる病態の関連因子をターゲットとしている場合、当社の薬効評価試験サービスを用いることで、その効果を最大限引き出すことが可能です。 今回は、線維化に着目して医薬品開発を行い、当社でマウスを用いた前臨床試験を実施後に、その研究結果をNature Biotechnology誌に投稿された、Insilico Medicine社様の論文をご紹介いたします。 Ren et al., Nat Biotechnol., 2024 URL ► https://www.nature.com/articles/s41587-024-02143-0 こちらの論文ではAIを用いてTRAF2- and NCK-interacting kinase (TNIK) を抗線維化のターゲットと特定し、肺、皮膚、腎臓の線維化モデル動物を用いて前臨床試験を実施し、臨床試験まで進まれた結果が記載されております。 上記の様に複数臓器に渡る線維化に対して、同一化合物がその治療効果を示していることが見られます。 これまでも線維化に関わる治療薬開発において、肝臓、肺、腎臓、腸、皮膚など複数臓器に渡って同一化合物を評価し、その中で特に有望な疾患に対する開発を進められた企業様もいらっしゃいます。 当社では各臓器における線維化モデルを複数展開しておりますので、本論文のように、様々な臓器の線維化モデルを用いた薬効評価試験を実施することが可能です。 例えば、以下のような課題に対し、開発されている被験物質に合わせた試験デザインのご提案が可能です。 「どの臓器の線維症を適応症とするか決めたい」 「肝臓疾患に効きそうな被験物質があるが、適応症がわからない」 「適応拡大を狙って色々な炎症・線維化モデルで試したい」 ご関心がございましたら、以下より是非一度お問い合わせ下さい。
当社はSTAM™-HCC/IO⁺マウスに関するimmuno-oncology分野における最新の病理、病態のデータについて、2024年6月5日から8日にイタリアのミラノで開催されるEuropean Association for the Study of the Liver 2024 Congres(EASL Congress 2024)でポスター発表いたします。 STAM™-HCC/IO⁺マウスは、今年2月にローンチを発表した、新たな肝癌治療薬開発のための、腫瘍免疫学の分野では初となる非臨床モデルです。 ローンチに関するニュースはこちら ►►► https://kyodonewsprwire.jp/release/202402076294 EASL Congress 2024では、新た公表するデータを踏まえ、STAM™-HCC/IO⁺マウスが分子標的薬に加え、免疫細胞、腫瘍微小環境を考慮した肝がん治療のための薬剤の評価が可能なモデルであることを発表します。 プレゼンテーションの詳細は以下の通りです。 ■ Abstract Title: Metabolic dysfunction associated steatohepatitis derived HCC model mouse for immune-oncology. ■ Abstract Number: 1859 ■ Format: Poster ■ Presenting Author: Taishi Hashiguchi, PhD, Executive Vice President, SMC Laboratories, Inc….
当社の慢性腎臓病モデル“UUOモデル”を用いた、抗claudin-1抗体による薬効評価試験例をご紹介いたします。 Title: A monoclonal antibody targeting nonjunctional claudin-1 inhibits fibrosis in patient-derived models by modulating cell plasticity ( Roehlen et al., Sci Transl Med. 2022 ) Article Link ► [DOI: 10.1126/scitranslmed.abj4221] 本研究において、当社はUUOモデルにマウス化CLDN1抗体を投与し、シリウスレッド染色による腎組織の線維化面積や免疫染色法によるマクロファージの浸潤について評価しました。 その結果、マウス化CLDN1抗体による治療は、vehicleと比較し、腎組織の線維化およびマクロファージの浸潤を抑制することが明らかになりました。 本研究のように、抗体医薬をはじめとした被験物質の腎臓の線維化に対する薬効評価研究や、慢性腎臓病の基礎研究にUUOモデルを用いることが可能です。 UUOモデルは間質性線維症、尿細管萎縮、炎症細胞浸潤といった慢性腎疾患の病理的特徴が認められます。 本モデルは、試験期間が2週間であるため、腎臓の線維化に対する抗線維化薬のin vivoスクリーニング試験に適したモデルです。 また、当社UUOモデルでは片側の尿管を結紮し、病態を誘導します。病態を誘導した腎臓を3分割し、1個体から病理解析、生化学検査および遺伝子解析などの様々な解析用サンプルを採材できます。 当社UUOモデルの詳細についてはこちらをご覧ください ▶▶▶ 【 UUOモデルについて 】 当社UUOモデルやその他慢性腎臓病モデルにご関心やご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。
当社クライアントのMarshall University (WV)が、STAM™マウスを用いた薬効評価試験の結果をCells誌に発表いたしました。 Title: Normalization of the ATP1A1 Signalosome Rescinds Epigenetic Modifications and Induces Cell Autophagy in Hepatocellular Carcinoma (Rajan PK et al., Cells. 2023) Article Link ► [DOI: 10.3390/cells12192367] 本研究にて用いられたSTAM™マウスは、非アルコール性脂肪肝炎から肝がんを発症する病態モデルです。 当社は、肝がんフェーズのSTAM™マウスにATP1A1/Src signalosomeの阻害剤であるpNaKtideをi.p.投与し、肝臓サンプルを採材しました。 著者らはこれらのSTAM™マウスの肝臓サンプルを用いて、エピジェネティック修飾があるかヒストンのアセチル化とメチル化について解析しました。通常マウスと比較してSTAM™-HCCマウスの肝臓ではエピジェネティック修飾 (H3K9acおよびH3K9me3)の頻度が上昇しましたが、pNaKtideの投与により減少しました (文献中のFig. 4)。 また、pNaKtideは肝がんに対する抗がん作用を示すことが、同様の試験を実施した先行研究により明らかになっております (Udoh US et al., Int J Mol Sci. 2022 | DOI: 10.3390/ijms23137359)。 本発表で示されているように、肝がんフェーズのSTAM™マウスの肝臓ではエピジェネティック修飾が起こります。 エピジェネティック修飾に着目した抗がん剤の開発をはじめとした創薬研究、基礎研究にSTAM™マウスを用いることが可能です。 …