2025.02.03

STAMマウス_adiponectin-derived peptideによるMASHおよび線維化進展の抑制試験

本記事では、Clinical and Translational Science誌にてアメリカのAllysta Pharmaceuticals社の研究チームにより発表されたadiponectin-derived peptide ALY688のSTAMマウスを用いた薬効評価試験の実証例について、ご紹介をいたします。

 

The adiponectin‐derived peptide ALY688 protects against the development of metabolic dysfunction‐associated steatohepatitis – Huang – 2024 – Clinical and Translational Science – Wiley Online Library
(Zhe Huang et al., Clinical and Translational Science, 17, e13760, 2024) PMID: 38847320

治療期間;6週齢から9週齢
群構成;対象群(Vehicle)、ALY688低用量群(皮下)、ALY688高用量群(皮下)、ALY688低用量群(浸透圧ポンプ)、ALY688高用量群(浸透圧ポンプ)の5群構成
エンドポイントの評価項目;血清ALT、血清AST、HE染色およびNAFLD Activity score

 

本論文では、STAMTMマウスのほかCDAHFDモデルマウスも用いて、ALY688の薬効評価試験を行っております。これらの試験から得られたデータをもとに、ALY688のanti-NASHおよびanti-fibrosis効果について報告しています。
理想的なMASH (NASH)モデルについては、いくつか文献で報告されておりますがそのすべて項目を満たしているモデルは現在のところ存在しておらず、少なくとも2種類以上のMASHモデルを用いた薬効評価試験をすることが推奨されております(Daniel Jahn et al, Biochim Biophys Acta Mol Basis Dis., 1865, 943-953, 2019, Prasanna K. Santhekadur et al, J Hepatol., 68, 230-237, 2019, Henrik H Hansen et al, Drug Discov Today, 22, 1707-1718, 2017)。
 
下記に、STAMTMマウスとCDAHFDの比較表を示します。STAMTMマウスは2型糖尿病を背景に、MASH、線維化および肝癌とヒトMASH病態と同様な病態進行を示しますが、線維化については肝硬変までには至りません。一方で、CDAHFDは代謝異常の背景はないものの、シビアな線維化を示すモデルです。両モデルを用いた薬効評価試験を実施することで、両モデルの短所を補完することができ、被験物質のMASH病態に対するポテンシャルを最大限評価できます。

 

表1. STAMTMマウスとCDAHFDの比較表


私たちは、STAMTMマウス、CDAHFDモデルのほか、GAN diet、HFHF、MCD、WD+CCl4といった疾患モデルの背景データを有しており、お客様の試験目的から至適のMASHモデルをご提案します。