SMCラボラトリーズが毎⽉発信している研究コラムをご覧いただけます。
2025.02.02
本記事では、癌の中でも罹患率の高い癌の一つである肝臓癌と肝臓疾患として急激な増加を示している非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の関係についてご紹介致します。 昨年、Nature Reviews Gastroenterology & Hepatologyに下記タイトルの論文が発表されました。 Global epidemiology of NAFLD-related HCC: trends, predictions, risk factors and prevention 10年以上前から弊社が着目してきたNAFLD-related HCCの存在が世界的にも認知されるようになってきています。 ・肝細胞癌とは 肝臓癌は世界で6番目に多いガンであり、2020年では癌関連の死因3位に位置する癌種です。 その中でも肝細胞癌(HCC)は肝臓癌の約90%を占めていることが知られています。 このHCC発症の原因としては、B型・C型肝炎、アルコール、糖尿病などが知られていますが、近年注目を集めているのがNAFLD/NASHになります。 ・NASHとHCCの関係性について NASHとは、非アルコール性の脂肪肝炎であり、脂肪肝から肝炎、線維化、そして最終的に肝癌に進行するという特徴を持ちます。 この疾患が注目を集めている理由として、NAFLD/NASH患者数と共に想定される潜在患者の多さにあります。 生活習慣変化に伴い、糖尿病や肥満を示す人口が多くなり、世界人口の1/4がNAFLDに罹患していると推定されており、NASHの発生率は今後10年間で最大56%も増加すると予測されています。 今日における肝細胞癌の原因は、B型・C型肝炎ウイルス感染に由来する慢性肝疾患ですが、近年の治療法進歩によりウイルス感染に由来するHCC患者は、今後減少すると考えられています。 一方で、生活習慣の変化に伴うNAFLD/NASH患者の増加により、これらに由来したHCC患者の増加が懸念されています。 弊社のSTAMTMマウスは弊社SMCラボラトリーズが開発した世界初のNASHからHCCを発症する病態モデルマウスであり、後期2型糖尿病の背景を有し、ヒトNASHと類似した病態(脂肪肝→NASH→肝線維化→HCC)を発症します。このマウスモデルでは各病態、及び現在増加が懸念されているNASH由来HCCに対する薬効評価試験が可能です。
2025.02.02
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の病態発症および進行には、慢性的な遊離脂肪酸の過剰のみならず、多因子が関与していることが明らかになっております。 今日において、NASH治療候補薬として作用機序の異なる様々な分子が設計されておりますが、未だその有効性は限られています。 NASHの病態が複雑であることを考慮すると、単剤による治療ではなく、異なる経路を標的とする薬剤を組み合わせた併用療法が、より効果的ではないかと期待されています。 本日は、弊社が開発した世界初のNASHから肝癌を発症する病態モデルマウス-STAM™モデル–において、併用投与の評価事例をご紹介いたします[Jojima T et al., Diabetol Metab Syndr., 2016]。 本論文では、NASHに対するSGLT2阻害剤EmpagliflozinとDPP4阻害剤Linagliptinの単剤および併用投与の効果を検討しております。 下図の通り、STAM™において、併用投与によって相乗効果が生じたことで、単剤投与よりも強い抗線維化作用が認められました。 弊社では、今回ご紹介したケースの他にも、併用投与の評価実績が複数件ございます。 NASHに対する併用療法に関して、ご関心をお持ちでしたら弊社STAM™を用いた試験をご検討いただけますと幸いでございます。 STAM™マウスの利用にご興味ある場合は、お気軽にお問い合わせください。
2025.02.02
本記事では、NASHモデルの1つとして、広く利用されているCDAHFDモデルをご紹介したくご連絡いたしました。 本モデルは、通常マウスにコリン欠乏高脂肪食飼料を給餌することで病態を誘導する非肥満型のNASHモデルです。 肝臓への過剰な脂肪蓄積により肝障害マーカーが上昇、炎症細胞の浸潤、中心静脈周囲の強い肝線維化シグナル等、NASH患者の肝臓病理を再現しております。 NASHは複雑な病態進行を辿るため、ヒトの病態を完全再現できる動物モデルが確立されておりません。 そのため、目的に応じて複数の動物モデルを使用し、NASH病態への効果を多角的に評価することが必要になります。 弊社では、NASHモデルとしてCDAHFDモデルの他に、NASH初期段階の病態を再現したSTAM™モデルをご提供しております。 資料のご請求やご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。
2025.02.02
本記事ではSTAM™モデルを使用した非臨床薬効評価試験についてcase studyをご紹介します。 私たちのサポートは非臨床の薬効評価試験サービスだけですが、これまでの経験から私たちの提案を行い、クライアント様と何度もディスカッションを重ねました。結果、私たちのデータを使用することにより臨床試験に進んでいます。 弊社では、STAM™モデルに加え、肺、腎臓、その他の肝疾患モデルを用いた薬効評価試験を実施することが可能です。線維性・炎症性疾患モデルを用いた化合物の総合評価も可能です。 また、マーケティングおよびサイエンスチームとのZoomミーティングを設定して、私たちが提供するサービスと、あなたのプロジェクトをどのようにサポートできるかを簡単に説明することもできますので、ぜひご利用ください。
2025.02.02
弊社では多様化するニーズにお応えするため、蓄積したノウハウを基にカスタムモデルサービス*をご提供しております。 *:カスタムモデルとは、現在弊社がご提供していないモデルに関して、クライアント様からいただいた文献やプロトコルを基にモデル確立、薬効評価を行うサービスとなります。 本記事では、カスタムモデルの一例として、弊社クライアント様がScientific Reports誌に投稿された文献をご紹介いたします (Preethy et al., Scientific Reports. 2023)。 Title: Resolution of fibrosis in mdx dystrophic mouse after oral consumption of N-163 strain of Aureobasidium pullulans produced β-glucan こちらの論文では、mdxマウスを用いた薬効評価の結果が示されております。 mdxマウスは、ヒトのデュシェンヌ型筋ジストロフィーの発症機序に類似した病態を示すため、エクソン・スキッピング創薬研究において広く活用されているモデルマウスです。 本論文では、mdxマウスに黒酵母菌Aureobasidium pullulansのN-163株由来β‐グルカン(BRMG)を投与しており、筋肉の炎症と線維化が予防されたことが報告されております。 弊社では、現在のモデルラインナップにない病態モデルをご希望の場合も、本件のようにモデルの確立や予備試験から実施することが可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
2025.02.02
本記事では、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の疾患モデルとして知られているブタ膵臓エラスターゼ(PPE)誘発肺気腫モデルをご紹介いたします。 本モデルは、肺におけるエラスチンの分解およびその分解物により誘導される炎症細胞浸潤により病態が発症します。 弊社では、Microsprayerを用いてPPEを気管内へ噴霧状に投与し、肺へ均等に暴露させるため、再現性のある均一な病態を発症させることが可能となっております。 下図に示すように、PPE投与により肺胞壁が破壊され、平均肺胞径(Mean linear intercept)が増加します。
2025.02.02
本記事では、疾患や病態の理解に伴う新しい概念である「代謝異常関連脂肪性肝疾患」についてご紹介致します。 この疾患概念については、2020年のJournal of Hepatology誌にて合意声明が掲載されています。 A new definition for metabolic dysfunction-associated fatty liver disease: An international expert consensus statement (Eslam et al., j Hepatol., 2020) 非アルコール性脂肪性肝疾患から代謝異常関連脂肪性肝疾患へ 以前もご紹介させて頂いたように生活習慣変化に伴い、糖尿病や肥満を示す人口が多くなり、既存の患者数と共に潜在患者の多さから非アルコール性脂肪性肝疾患が注目をされています。 非アルコール性脂肪性肝疾患という疾患の理解が進むにつれ、当時の診断基準の定義だけでは患者の実態に合わない例が認められるようになってきました。その現状に対し代謝異常関連脂肪性肝疾患という概念が示され、今後も非アルコール性脂肪性肝疾患自体は存在し続けるものの、疾患を一括りにするのではなく、原因や病態を細分化して薬の開発を行っていく必要性が加速していくと考えられます。 弊社では既に代謝異常関連脂肪性肝疾患を想定したモデル開発を開始しており、アップデートがありましたらご連絡させて頂きます。 弊社はこれまで炎症と線維化の分野に特化した病態モデル動物を用いた非臨床試験をご提供して参りました。 弊社のSTAMTMマウスは弊社SMCラボラトリーズが開発した世界初の非アルコール性脂肪性肝炎から肝ガンを発症する病態モデルマウスであり、後期2型糖尿病の背景を有し、ヒトNASHと類似した病態を発症します。
2025.02.02
本記事では、世界人口の9~12%が罹患していると推定されている慢性腎臓病と病変の特徴についてご紹介致します。 昨年、Nature Reviews nephrologyに下記タイトルの論文が発表されました。 The COVID-19 pandemic: progress in nephrology COVID-19の合併症として腎機能の低下が認められることからも、腎疾患への注目が集まっています。 –慢性腎臓病とは 慢性腎臓病は腎機能の低下や構造の異常が継続する疾患であり、腎障害マーカーや組織学的な解析により評価が行われます。 この慢性腎臓病は病態進行に伴い様々な合併症を引き起こし、米国では毎年数百万人が慢性腎臓病関連の合併症により生命が脅かされており、人口の1%未満である上記患者によって年間医療費の6%以上が消費されるとの報告もあります。 –慢性腎疾患の病態について 腎疾患は病変の主座により、大きく糸球体疾患と尿細管・間質性疾患に分けられます。 腎機能の低下や腎臓の構造異常は共通しているものの、原因や病変の主座、認められるマーカーなどに違いがあります。 そのため、弊社に薬効評価試験の依頼があった場合も、お客様のターゲットによって病変の主座や認められる腎障害マーカーについてはお問い合わせが多い点になります。 現在までにCKDの根本的な治療法はなく、その進行遅延による病態悪化抑制を目的とした治療が行われています。そのため、慢性腎臓病に対する根本的な治療薬の開発が望まれています。 弊社では慢性腎臓病に対する病態モデルマウスを用いて新薬開発に対する薬効評価試験サービスを提供しております。 下記の4種類のモデルをご提供しており、各モデルにおいて得意とする評価項目が異なるため、お客様のターゲットに合わせてご利用頂くことが可能です。
2025.02.02
本記事では、STAMモデルのデータについて、ご紹介したくご連絡致しました。 ABS-0579| Molecular Pathogenesis of Non-Alcoholic Steatohepatitis (NASH) through the Dysregulation of Metabolic Organ Network in the NASH-HCC Model Mouse Treated with Streptozotocin-High Fat Diet 本発表で、STAM™モデルにおいて腸粘膜透過性の向上 (Leaky Gut)が確認され、そのNASH病態の発症・進行に腸内環境の変化が関与している可能性が示唆されました。 STAM™モデルは、弊社SMCラボラトリーズが開発した世界初のNASHから肝ガンを発症する病態モデルマウスです。 ヒトNASHと類似した病態(脂肪肝→NASH→肝線維化→HCC)を発症することから、これまで多くの薬効評価試験や基礎研究に活用されてきました。 NASH患者では、腸管内のマイクロバイオームの変化やLeaky Gutなどが、病態に影響を及ぼすことが報告されております(Lixin et al., Hepatology, 2012; Jay et al., CMGH, 2015)。 腸と肝臓は門脈で繋がっており、肝臓の血液供給の約70%が門脈を介しています。そのため、腸に由来する一連の細菌、細菌の代謝物やエンドトキシンが、門脈を通じて肝臓に影響を与えます。 弊社では、STAM™モデルにおける肝臓と腸の相互作用を検討するために、各種解析を行いました。 腸管上皮のタイトジャンクション関連タンパク質であるZO-1を解析した結果、病態進行に伴い発現量の減少が確認されました(図1)。また、血液中のエンドトキシンの発現量の増加も確認されました(Fig.2)。 腸管におけるZO-1タンパクの発現低下や血中エンドトキシンの増加が確認されたことから、STAM™モデルはLeaky Gutを発症しており、腸管においてもヒトNASH患者の病態に相関していることが示唆されました。 プロバイオティクスによる腸内環境の改善に伴い、NASH病態の改善が示されているため、腸疾患改善に繋がる化合物をお持ちの場合は弊社STAM™でNASHへの効果を評価してみるのはいかがでしょうか。
2025.02.02
本記事では、弊社STAMTMマウスを用いた共投与試験についてご提案させて頂きます。 現在、様々な製薬企業様でNASHの非臨床、臨床試験における共投与試験が実施されております。 NASHは脂肪肝、炎症、線維化等様々な病態を発症する為、異なるターゲットに対する候補薬を共投与する事により、相乗効果を示すことが期待されます。 弊社は独自のNASH-HCCモデルであるSTAMTMマウスをご提供しております。STAMTMマウスはヒトNASHと類似した病態(脂肪肝→NASH→肝線維化→HCC)を示すNASH-HCCモデルとして、多くの企業様や大学様にてご利用頂いております。 STAMTMマウスは複数の共投与試験で使用された実績があり、SGLT2 inhibitorとDPP-4 inhibitorを用いた試験が一例として挙げられます[Jojima T et al., Diabetol Metab Syndr., 2016]。 以下がその際に実施された試験デザインとなります。 本試験では共投与群において、単剤投与群と比較して複数のパラメーター、特に線維化の改善が認められております。 共投与試験の実施により、NASH治療に対する候補薬の可能性を拡大させる事が可能であると考えております。 NASHをターゲットとした候補薬をお持ちの場合、ぜひ弊社のSTAMTMマウスを用いた薬効評価試験をご検討いただけますと幸いです。 弊社では今回ご紹介したSTAMTMモデルを始め、炎症/線維化に関連した様々な病態モデルを取り揃えております。詳細情報は弊社HPにてご参照頂けます。
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