SMCラボラトリーズが毎⽉発信している研究コラムをご覧いただけます。
2025.02.03
本記事では、肺線維症のマウスモデルである「シリカ誘導性肺線維症モデル」の経時データをご紹介いたします。 シリカモデルは細胞治療など、長期間に渡って治療効果を評価する必要がある場合に適しています。 シリカ誘導性肺線維症モデルは、活性酸素の産生、アポトーシスによる細胞死、炎症や線維化が観察され、珪肺症の病態を再現しています。 肺線維症モデルとしてIPFモデルであるブレオマイシン誘発性肺線維症モデルが有名ですが、シリカモデルの特徴は以下の通りです。 線維化病態の持続 肺の病態由来の死亡が見られない したがって、特に肺線維症に焦点を当てた長期投与を検討する際に適したモデルとなり、肺の病理学的変化の経時的変化は以下の通りです。 以上の結果から、49日後、63日後でも線維化状態が維持されており、長期の肺線維化に対する薬剤治療の有効性を評価できることが分かります。また、抗線維化薬であるNintedanibの試験結果もございます。 モデルやNintedanibの結果について、より詳しい情報をご希望の場合は、お問い合わせください。
2025.02.03
本記事では、線維症評価のためのin vitro assayサービスに関してご紹介させて頂きます。 こちらのin vitro解析により、予備検討や化合物の線維症効果のスクリーニングを費用対効果に優れた方法で実施することが可能となり、貴社の医薬品開発における貴重な時間とリソースを節約することができます。これにより、貴社の創薬プロセスの初期段階がスピードアップするだけでなく、本格的な動物実験への早期投資に伴うリスクも軽減されます。 当社は長年にわたり、非臨床CROとして、炎症、線維症、がんを中心としたマウスを用いた薬効評価試験サービスを提供してまいりました。この結果、多くの新薬開発パイプラインの加速化を実現し、臨床試験への進行に貢献して参りました。 In vitro assayサービスにより、貴社の研究開発にさらに貢献できれば幸いです。 ご質問やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
2025.02.03
本記事では、Clinical and Translational Science誌にてアメリカのAllysta Pharmaceuticals社の研究チームにより発表されたadiponectin-derived peptide ALY688のSTAMマウスを用いた薬効評価試験の実証例について、ご紹介をいたします。 The adiponectin‐derived peptide ALY688 protects against the development of metabolic dysfunction‐associated steatohepatitis – Huang – 2024 – Clinical and Translational Science – Wiley Online Library (Zhe Huang et al., Clinical and Translational Science, 17, e13760, 2024) PMID: 38847320 治療期間;6週齢から9週齢 群構成;対象群(Vehicle)、ALY688低用量群(皮下)、ALY688高用量群(皮下)、ALY688低用量群(浸透圧ポンプ)、ALY688高用量群(浸透圧ポンプ)の5群構成 エンドポイントの評価項目;血清ALT、血清AST、HE染色およびNAFLD Activity score 本論文では、STAMTMマウスのほかCDAHFDモデルマウスも用いて、ALY688の薬効評価試験を行っております。これらの試験から得られたデータをもとに、ALY688のanti-NASHおよびanti-fibrosis効果について報告しています。 理想的なMASH (NASH)モデルについては、いくつか文献で報告されておりますがそのすべて項目を満たしているモデルは現在のところ存在しておらず、少なくとも2種類以上のMASHモデルを用いた薬効評価試験をすることが推奨されております(Daniel…
2025.02.03
本記事では、特発性肺線維症 (Idiopathic Pulmonary Fibrosis, IPF)の非侵襲性肺機能マーカーについてご紹介させて頂きます。 特発性肺線維症などの肺疾患では、肺のCTや病理組織解析と共に肺機能の評価が行われます。マウスの場合、肺機能の評価は手順の煩雑さ、専用機器の必要性のため、簡単に実施することはできません。そのため、様々な分子でバイオマーカーとしての有用性評価が行われています。 その中でMatrix Metalloproteinase-7 (MMP-7)は、IPF患者においてその増加が肺機能(DLCO、FVC)の低下と相関を示すことが示されており、肺機能のバイオマーカーとなることが期待されている分子です[Rosas et al., PLoS Med., 2008]。 弊社Bleomycin (BLM)-induced IPFモデルにおけるMMP-7の生化学解析の結果は下記の通りです。 IPFモデルではBLM投与後7日目で血漿MMP-7の増加、また、病態進行に伴いBLM投与後21日目でMMP-7の更なる増加が認められました。さらに、IPF治療薬としてFDAから承認されているNintedanib投与はMMP-7の減少を示しました。 弊社では今回ご紹介したMMP-7の他、様々な病態モデルにおきまして非侵襲性バイオマーカーの有効性の検討を行っております。これにより、クライアント様に臨床相関性の高い病態モデルをご提供できると考えております。 その他、資料請求やご質問等ございましたらお気軽にご連絡ください。
2025.02.03
本記事では、弊社クライアント様がInt J Biol Sciに投稿された論文についてご紹介致します。 こちらの論文では近年注目されているNASH由来肝ガンの進行抑制に着目し実験が行われています。 遺伝子発現データを基にしたターゲットの発現解析後、実際にNASH-HCCモデルマウスを用いた薬効評価試験を実施されています。 上記の論文だけでなく、これまでmicroarrayを用いた遺伝子発現解析が複数の論文で報告されています。 ご興味あるターゲットの遺伝子発現は試験依頼時に注目すべきポイントであり、クライアント様からお問い合わせが多い内容の一つです。そして特にRNA-seqを用いた遺伝子発現データについてお問い合わせ頂くことが多くございます。 弊社ではご要望にお答えして、STAMTMモデルを用いて経時的な遺伝子発現データの取得を実施致しました。STAMTMモデルは、弊社SMCラボラトリーズが開発した世界初のNASHから肝ガンを発症する病態モデルマウスです。ヒトNASHと類似した病態(脂肪肝→NASH→肝線維化→HCC)を発症することから、これまで多くの薬効評価試験や基礎研究に活用されてきました。 STAMTMモデルを用いて、ご興味のあるターゲットの遺伝子発現を確認し、研究に利用するのはいかがですか。 STAMTMモデルや遺伝子発現データの利用についてご興味ある場合は是非お問い合わせください。
2025.02.03
DSS誘発大腸炎モデルは、炎症性腸疾患のスタンダードモデルであり、炎症性腸疾患の治療候補の有効性やメカニズム研究に広く使用されております 本記事では、炎症性腸疾患(IBD)の病態モデルであるデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発大腸炎モデルをご紹介いたします。 本モデルは、病態誘導の簡便さやヒトIBDと類似した病態を持つことから、IBDの発症・進行メカニズム解明や治療薬の探索に活用されております。 弊社DSSモデルは、被験物質の作用機序や試験目的に合わせて、急性大腸炎と慢性大腸炎の2種の薬効評価試験が実施可能です。 急性大腸炎モデル: 5日間のDSS飲水投与に伴い、腸陰窩の消失や、腸管上皮のびらん、粘膜固有層への炎症性細胞の浸潤などのヒトIBDに類似した病理組織学的所見が確認 慢性大腸炎モデル: 急性大腸炎を誘導後、通常飲水で14日間飼育することで、慢性大腸炎に認められる腸の線維化を誘導 弊社では、DSSモデルを始め、種々の臓器における炎症/線維化モデルを用いた薬効評価試験サービスを提供しております。 詳細にご興味がございましたら、お問い合わせください。
2025.02.03
複数MASHモデルを用いる有用性: STAMTM x GAN diet – 臨床試験におけるMASH患者の基準を総合的にカバー可能 – STAMとGAN dietの併用により、肥満、脂肪肝スコア、線維症スコアを総合的に網羅して評価可能 STAMTM x GAN diet比較表 理想的なMASHモデルについては複数の論文で紹介されていますが、現在、これらの基準をすべて満たすモデルは存在せず、薬剤の有効性評価研究では少なくとも2つ以上のMASHモデルを使用することが推奨されています (Daniel Jahn et al, Biochim Biophys Acta Mol Basis Dis., 1865, 943-953, 2019, Prasanna K. Santhekadur et al, J Hepatol., 68, 230-237, 2019, Henrik H Hansen et al, Drug Discov Today, 22, 1707-1718, 2017). 実際、約30%のクライアント様が複数の肝線維化モデルを用いた薬理試験を評価し、複数モデルにおける試験物質の効果を総合的に評価されています。当社はSTAMTM,…
2025.02.03
本記事ではこれまでご提供してきました「ブレオマイシン(BLM)誘発肺線維症モデル」に関して、雄マウスでの病態作製オプションについてご連絡させて頂きます。 特発性肺線維症(IPF)の患者数は、女性よりも男性が多いことが知られております。弊社では、これまでハンドリングの容易さや病態誘導に伴う死亡率上昇の観点から、BLMモデル作製には雌マウスを用いてきました。しかし、非臨床試験の段階から、病態や化合物の作用機序に対する性差を考慮したいというクライアント様のご要望にお応えして、この度従来の雌マウスを用いたBLMモデルに加え、雄マウスを用いた病態モデル作製のオプションを追加いたしました。 弊社内で雄マウスを用いたBLMモデルのデータを取得・確認したところ、文献等で公表されているデータ同様、雌マウスよりも病態が強くなることを確認しております。これにより、肺線維症に対する化合物の薬効を包括的に評価することが可能になります。 今回ご紹介した雄BLMモデルを用いた薬効評価試験および弊社サービスについて、ご関心がございましたらお気軽にお問い合わせください。
2025.02.03
本記事では、弊社独自のNASH-HCCモデル(STAMTMモデル)の基礎研究への活用事例をご紹介致します NASHは、病態発症機序の解明や新規診断方法の確立などの基礎研究において、大きな需要が残る疾患領域です。 また基礎研究では、病態モデル動物を用いて度々行われていますが、その際臨床相関性の高いモデルであることが重要視されています。 弊社STAMTMモデルは、高い臨床相関性を活かして、これまで薬効評価試験だけでなく多くの基礎研究にもご利用いただいております。 ご参考までに、本モデルを用いた基礎研究について、現在公表されている論文の一部をご紹介します。 – Integrative genomic analysis of mouse and human hepatocellular carcinoma 4つの代表的な肝癌モデル(MUP transgenic、TAK1-knockout、DENおよびSTAMTM)とヒト肝癌についてゲノムおよびトランスクリプトームの比較を行った結果、STAMTMマウスで発生する肝癌が最もヒト肝癌に類似していることが示されました。 – MicroRNA deregulation in nonalcoholic steatohepatitis-associated liver carcinogenesis STAMTMモデルを用いて、NASH-HCCにおけるマイクロRNAの発現変化を解析し、主要なhepatocarcinogenesis-related pathwayに関与する複数のmiRNAがヒトHCCの場合と同様に高発現していることを明らかにしました。 – Free fatty acid-based low-impedance liver image: a characteristic appearance in nonalcoholic steatohepatitis (NASH) 新規非侵襲性の診断方法として、肝臓中の遊離脂肪酸の抵抗値を測定したところ、STAMTMモデルとヒトNASH検体で同様の傾向が確認されました。 – Analysis of amino acid profiles of…
2025.02.03
本記事では、STAMTMモデルのRNAシークエンスデータ取得とその活用方法に関してご提案させて頂きます。 STAMTMモデルはヒトNASHと類似した病態(脂肪肝→NASH→肝線維化→HCC)を示すNASH-HCCモデルとして、多くの企業様や大学様にてご利用頂いております。 弊社では本モデルの経時的なRNAシークエンスデータを取得しております。 以前はターゲット分子の発現について問い合わせ頂いたものの、それら全てにお答えすることはできておりませんでしたが、現在はこちらのデータを用いた標的因子の挙動を基に、解析に適した評価項目のご提案も実施しております。 ターゲットの発現が不明などの理由で試験実施を躊躇われている場合、お問い合わせ頂けますと幸いです。 当社ではRNAseqデータだけでなく、豊富な試験経験を生かした試験デザインのご提案や事前のディスカッションも実施しております。 ご興味がございましたら、コンタクトフォームよりお問い合わせください。
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