SMCラボラトリーズが毎⽉発信している研究コラムをご覧いただけます。
2025.01.29
本記事では弊社クライアント様が慢性腎臓病モデルを用いて発表された論文についてご紹介致します。 上記の論文では弊社の片側尿管閉塞(UUO)モデルを用いた結果を報告しています。 化合物の投与後に組織学的解析、遺伝子発現解析を実施し病態改善を示すと共にメカニズムの解析を実施しています。 UUOモデルについて こちらの論文で使用しているUUOモデルは間質性線維症、尿細管萎縮、炎症細胞浸潤などの病理的特徴を再現性良く示すモデルとなっています。 また、試験期間が2週間と短いことから腎臓の線維化に対する化合物のスクリーニング試験に適したモデルとなっております。 抗線維化効果を示す化合物をお持ちの場合、UUOモデルを用いた試験を検討されてはいかがでしょうか? UUOモデルについてご興味ある方は下記の紹介ページをご覧ください。 UUOモデルの作製方法や確認できる病態に興味がある方はこちら。 UUOモデルで使用可能なポジティブコントロールについてはこちらの記事をご覧下さい。 さらに詳しい情報が必要な場合は、コンタクトフォームからお問い合わせください。
2025.01.29
本記事では、弊社片側尿管閉塞(UUO)モデルにおけるポジティブコントロールとしてのALK5 inhibitorについてご紹介させて頂きます。 ALK5 inhibitorは、腎線維化において中心的な役割を担うTGF-beta/ALK5シグナルの阻害効果を持つ化合物になります。 弊社UUOモデルでALK5 inhibitorを用いて、線維化について解析を行った結果は以下の通りです。 ALK5 inhibitorはUUOモデルにおいて腎線維化の有意な減少を示し、この改善効果を再現良く確認しております。 UUOモデルは腎臓での強い線維化と短期間での病態発症を特徴として、腎線維化のスクリーニングに適したモデルとなっております。 また、尿細管の拡張、萎縮など尿細管間質領域の病変も示すため、線維化及び腎臓疾患に対する候補化合物をお持ちでしたら、UUOモデルを用いた試験をご検討してはいかがでしょうか。 またUUOモデル以外にも、アドリアマイシン、アデニン誘導性腎障害モデルなども有しております。 さらに、他の臓器における炎症・線維化モデルも多数ご用意しておりますので、詳しくはお問い合わせください。
2025.01.29
本記事では慢性腎疾患(Chronic kidney disease: CKD)モデルの一つとして知られるアデニン誘導性腎障害モデルをご紹介します。 CKDは慢性的な腎臓機能低下や腎障害により引き起こされる進行性の腎臓疾患です。 腎機能の測定には糸球体濾過量をはじめとして、血中クレアチニンや血中尿素窒素が指標として利用されています。 腎機能の継続的な低下により、CKD患者の病態は慢性腎不全に進行後、透析や腎移植を必要とするまでに悪化しますが、現在までにCKDの根本的な治療法はないため、治療薬の開発が望まれています。 弊社のアデニンモデルマウスには以下の様な特徴がございます。 1. 血中クレアチニンや血中尿素窒素を用いて腎機能の評価が可能 2. 尿細管間質障害、線維化などの組織学的な評価が可能 3. リファレンスコントロールとしてTelmisartanを利用した薬効評価試験が実施可能 本モデルでは腎障害後に観察される組織の病態変化だけでなく、血中マーカーを用いて腎機能の評価が可能となります。腎機能は臨床試験でエンドポイントとして使用されており、臨床と同様の解析項目を使用して化合物の薬効評価試験が可能となります。 ご質問等がございましたらお気軽にご連絡ください。
2025.01.29
本記事ではアドリアマイシン(ADR)モデルで利用可能なバイオマーカーについてご紹介致します。 Urine NGAL levels in ADR model at Day28 慢性腎疾患(CKD)の診断には一般的にクレアチニンを用いて算出するeGFRが用いられていますが、腎臓への影響が弱い場合、変化が遅い・見られないなどの問題があります。 そのため、腎臓への影響を正確かつ簡便に測定可能なバイオマーカーが求められています。 今回は、腎障害・CKDのバイオマーカーとして注目されている【好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)】をご紹介致します。 NGALは腎障害によって尿中・血中に分泌されるタンパク質で、糸球体硬化症及びCKD患者においてバイオマーカーとして利用可能となっています。また、既存のバイオマーカーとして利用されているタンパク尿や血清クレアチニンの結果よりもCKDの進行と強い相関関係があることが報告されています[Zhang Q., et al, Am J Med Sci., 2018; Bolignano D., et al, Clin J Am Soc Nephrol., 2009]。 弊社のADRモデルで尿中NGALを解析した結果、病態発症28日後においてNGAL濃度の有意な上昇が認められました。 また、リファレンスコントロールであるバルプロ酸(VPA)の投与により有意な減少が認められました。 アドリアマイシンモデルの情報は以下からもご確認できます。 アドリアマイシンモデル
2025.01.29
本記事では慢性腎疾患(Chronic kidney disease: CKD)とアドリアマイシン誘導性腎障害(ADR)モデルについて、ご紹介いたします。 CKDは慢性的な腎臓機能低下や腎障害により引き起こされる進行性の腎臓疾患です。 成人の約10%では腎障害が生じており、CKD患者の約1%は慢性腎不全に進行後、透析や腎移植を必要とするまでに悪化します。 米国では毎年数百万人がCKD関連の合併症により生命が脅かされており、人口の1%未満である上記患者によって年間医療費の6%以上が消費されるとの報告もあります。 現在までにCKDの根本的な治療法はなく、その進行遅延による病態悪化抑制を目的とした治療が行われているため、慢性腎疾患の早期診断、及び治療薬の開発が望まれています。 ADRモデルマウスは慢性腎疾患モデルとして広く使用されているモデルであり、弊社のADRモデルマウスには以下の様な特徴がございます。 糸球体、及び間質尿細管障害、線維化などの組織学的な評価が可能 腎疾患の初期から中期ステージの評価に有用 リファレンスコントロールとしてバルプロ酸(Valproic acid, VPA)*を利用した予防・治療効果の評価試験が実施可能 *: VPAは抗炎症・神経保護効果を示すヒストン脱アセチル化阻害剤であり、抗てんかん薬の一つとして知られています。 本モデルでは腎障害後の早期で観察される尿、組織の病態変化が中心に認められています。 そのため、診断と治療薬開発が期待されているCKDの初期‐中期ステージの解析が可能と考えられます 詳細な資料をご希望の場合は、コンタクトフォームよりお問い合わせください。
2025.01.28
本日はInflammatory Bowel Disease (IBD) モデルマウスにおける Etrasimod (VELSIPITY)の薬効評価データをご紹介いたします。 Etrasimod (VELSIPITY, sphingosine 1-phosphate (S1P) receptor modulators)は2023年10月12日にulcerative colitisに対して、経口投与可能な治療薬として承認されました。 IBDモデルマウスに対する薬としては、これまでMesalazineやTacrolimusのデータを公開しておりましたが、今回Etrasimodを用いたデータを取得しましたので、ご紹介します。 本試験ではIBD発症後に見られる腸の線維化を評価しており、Etrasimod投与群で線維化の優位な改善が見られております。 これまで腸の線維化まで評価可能な化合物はありませんでしたが、今後はEtrasimodをコントロールとしてあなたの被験物質を評価することが可能です。IBDモデル自体のデータや更なるEtrasimod投与結果に関しては、お問い合わせください。 弊社ではこれまで1,000以上の試験を実施しており、腸の病態モデルとしては病態期間に応じて炎症、線維化の評価が可能なIBDモデルが圧倒的に使用されております。さらにEtrasimodをコントロールとして追加したこのIBDモデルをあなたの研究に是非ご活用ください。
2025.01.27
肝癌モデルとしてのSTAMTM-HCC/IO+モデルの特徴についてご紹介させて頂きます。 下記URLの特設サイトも併せてご覧いただければ幸いです。 https://www.smccro-lab.com/Immuno-oncology/ 肝癌は世界で4番目に多い癌であり(Huang DQ et al, Nature Reviews Gastroenterology & Hepatology, 18, 223-238, 2021)、中でも、MASH/NASHに代表されるウイルス性肝炎の関与しない非B非C型の肝癌の割合は、年々増加しております。肝癌の治療薬としては、レンバチニブ、ソラフェニブといった分子標的薬の他、近年アテゾリズマブ+ベバシズマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブといった免疫チェックポイント阻害剤が臨床の現場で使用されています(Chen C et al, frontiers in Immunology, 14, 1133308, 2023)。しかしながら、肝癌に対する免疫チェックポイント阻害剤の奏効率は0~14%と、他の癌腫(例えば、メラノーマの奏効率;35~70%)に比べて低いため、新規治療薬の開発が期待されている状況です(Tan S et al, JACC: CardioOncology, 4, 579-597, 2022, Valero C et al, JAMA Oncology, 7, 1245-1246, 2021)。 腫瘍免疫学におけるSTAMTM肝癌モデルには以下のような利点があります。 • 細胞傷害性T細胞(CD8陽性T細胞)の浸潤細胞数および局在などの評価が可能 • 免疫チェックポイント阻害剤の抗腫瘍効果を評価することが可能 • 標的病変の腫瘍径和の最大変化率をCTにより算出し、腫瘍発育阻害の評価ができる • 腫瘍の腫瘍遺伝子変異量(Tumor mutation burden)が高い • 自然発生する肝癌で腫瘍周辺に線維芽細胞、免疫細胞が存在し、免疫抑制性のある腫瘍微小環境を形成しているため、腫瘍微小環境およびそれを形成する因子(immunosuppressive…
2024.04.11
本日は、STAMTMマウスを用いたFGF21をターゲットとした薬効評価試験の実証例について、ご紹介をいたします。 2023年米国Akero社のEfruxifermin、イスラエル89bio社のPegozaferminがPhase 2bにおける良好な結果が公表され、今後の展開が期待されております。2024年1月時点で、Clinical trial gov.に登録されている臨床試験およびその非臨床試験を表1にまとめました。 表1. FGF21アナログのNASHに対する開発状況
2024.04.08
Immuno-oncology MASH Resmetirom STAM™
先日、United States Food and Drug Administration (FDA)は、MASHに対する初めての治療薬としてMadrigal Pharmaceuticalsが開発を行ったRezdiffra (resmetirom)の承認を発表しました。 弊社のSTAM™-HCC/IO+モデルではこのresmetiromの評価経験があり、臨床試験でも評価されていた項目について、本モデルマウスにおける結果をご紹介します。 上図の通り、resmetiromの作用機序を考えた場合、 重要な脂質パラメータの改善や臨床試験のプライマリーエンドポイントに設定されているNAFLD activity scoreや線維化の改善も見られています。 このようにSTAM™-HCC/IO+モデルは承認されたresmetiromが臨床試験で評価された項目の同様な改善が認められています。 STAM™-HCC/IO+モデルを用いた化合物はこれまで15以上が臨床試験に進んでおり、病態再現性の非常に高いモデルとなります。 また、当社では、これまでにSTAM™マウスを用いて800以上の薬効評価試験を実施し、膨大なノウハウを有しており、最適な非臨床研究のご提案が可能です。 この機会にぜひ、当社にお問い合わせください。
2024.03.19
MASH Resmetirom STAM™
2024年3月14日に 業界を驚かせるニュースが舞い込んできました。 United States Food and Drug Administration (FDA)はMASHに対する初めての治療薬としてMadrigal Pharmaceuticalsが開発を行ったRezdiffra (resmetirom)の承認を発表しました。 FDAが初のMASH治療法を承認 これまで治療方法がなかった疾患に対し治療薬が承認されたことを、心から嬉しく思います。 もしお客様がこの状況下において、MASH治療薬を開発されている場合STAMTM-HCC/IO+モデルを利用することで、化合物の効果を最大限評価することが可能です。 上述の通り、RezdiffraがMASH治療薬として承認されたものの、臨床試験の結果によると少なくとも半数のMASH患者では病態の改善が認められていません。 これはMASHという疾患のメカニズムの複雑さによるものと考えられ、これまで治療薬開発が成功しなかった理由の一つです。 STAMTM-HCC/IO+モデルはMASHで生じる複雑な病態を反映しているモデルとして様々な経路の化合物の評価が行われ、臨床試験に進んでいる化合物も多く存在します。 以下の図ではPhase 2以降の臨床試験が実施されている化合物とそのターゲットを示しています。 上記の図で分かるように、STAMTM-HCC/IO+モデルは、MASHで見られる複雑な病態を再現し様々なターゲットが評価可能なモデルです。 複雑な病態を再現するこのモデルの利用によりお客様の化合物を評価すると共にRezdiffraとの複合投与による治療効果を評価することも可能となります。 STAMTM-HCC/IO+モデルではこれまでも化合物の複合投与試験の経験があり、相乗効果が見られることが確認されています。 STAMTM-HCC/IO+モデルを用いて、800以上の薬効評価試験を実施し、膨大なノウハウを有している私たちであれば、お客様に最適なご提案が可能です。 今回の歴史的ニュースは今後の研究の発展の第一歩となると思います。 このニュースに刺激を受け現在行っている評価試験から第2、第3の承認がでるよう一層邁進していきたいと思っております。 今回の承認に続く結果をお客様の研究でもお力添えができれば嬉しく思います。 この機会にぜひ、私たちにご連絡ください。
あなたの研究を促進させます。