SMCラボラトリーズが毎⽉発信している研究コラムをご覧いただけます。
2025.01.30
本記事では、弊社クライアント様がCellsに投稿された論文についてご紹介致します。 こちらの論文では選択的PPARα modulatorでありpemafibrateとNa+/グルコース共役輸送担体2の阻害剤であるtofogliflozinの単独、併用療法によりNASHモデルマウスの病態進行に対する影響の評価を実施されています。Pemafibrateとtofogliflozinという異なるメカニズムに対する化合物を用いることで相乗的な効果を示すことが示されました。 NASHについては、単なる非アルコール性脂肪肝炎ではなく、様々な代謝異常が認められる脂肪性肝疾患であると考えられるようになっています。このことからも、疾患を一つの治療薬ではなく、複数のターゲットに対する治療薬を併用して改善するという考え方は非常に合理的であると考えられます。 また、こちらの論文では近年注目されているNASH由来肝ガンの進行抑制に対する評価も実施されています。 今回の論文では弊社のSTAMTMモデルを用いて解析を実施頂きました。STAMTMモデルは、弊社SMCラボラトリーズが開発した世界初のNASHから肝ガンを発症する病態モデルマウスです。ヒトNASHと類似した病態(脂肪肝→NASH→肝線維化→HCC)を発症することから、これまで多くの薬効評価試験や基礎研究に活用されており、様々な化合物の併用療法にもご利用頂いてきました。 STAMTMモデルを用いて、お持ちの化合物の効果を単独、併用療法で試してみませんか?これまでの経験を用いて試験をご提案することも可能です。
2025.01.30
本記事では、PLOS ONEにて弊社クライアント様による論文発表がございましたのでご紹介致します。 本研究では、NASHモデルを用いて、SGLT2阻害剤であるipragliflozinの抗NASH効果を報告しております。線維化をはじめとして、脂肪肝、炎症、バルーニングの全ての項目で改善が認められています。 Ipragliflozinの抗NASH効果は、グルコースの尿中排泄を介した高血糖の改善だけでなく、miRNAであるmiR-19b-3pの制御に起因していることが示唆されました。miRNAの解析については、以前にも他のクライアント様が弊社STAMTMモデルを用いて、病態進行に伴うmiRNAの変化による影響について報告頂いています。 STAMTMモデルは、弊社SMCラボラトリーズが開発した世界初のNASHから肝ガンを発症する病態モデルマウスです。ヒトNASHと類似した病態(脂肪肝→NASH→肝線維化→HCC)を発症することから、これまで多くの薬効評価試験や基礎研究に活用されており、様々な基礎データが豊富にございます。 お持ちの化合物のターゲットの発現を事前に調査し、STAMTMモデルを用いた薬効評価試験を実施しませんか? STAMTMモデルの利用にご興味ある場合は是非お問い合わせください。
2025.01.30
本記事では、弊社クライアント様がnpj Precision Oncologyに投稿された論文についてご紹介いたします。 Title: “Transcriptomic analysis of hepatocellular carcinoma reveals molecular features of disease progression and tumor immune biology” STAM™マウスは、NASHを背景肝として肝ガンを自然発症する病態モデルマウスです。 本論文では、STAM™マウスを用いて、TGF-β中和抗体の投与が線維化に伴う肝ガンを抑制する可能性を報告しています。肝ガンフェーズにあるSTAM™マウスへTGF-β中和抗体を投与することで、線維化面積や肝臓中の腫瘍数・直径の減少が確認されております。またCD8+T cellの腫瘍への浸潤の増加も確認されました。 肝ガンは、線維化の進行過程でガン関連遺伝子が影響を受けて発症すると考えられております。したがって、線維化に関与する因子を抑制することがHCCの治療や予防に役立つことが期待されます。 弊社では、こちらの論文のように肝硬変と肝ガンを罹患したヒトで観られた線維化因子の変化に基づき、抗線維化に関する候補物質の薬効試験をSTAM™マウスで実施することで、臨床相関性のある前臨床試験を行うことが可能です。 またSTAM™の他、弊社では肺や皮膚、腎臓等、種々の臓器における炎症/線維化疾患のモデルマウスを取り揃え、薬効評価試験サービスをご提供しております。研究員同席の下、Webミーティングも可能でございますので、ご関心がありましたらお問い合わせください。
2025.01.30
本記事では、弊社STAMTMモデルにおけるMASH病態とアディポサイトカインの関連性について、ご紹介致します。 MASLDから肝細胞障害・壊死を伴うMASHへの進展発症には、多臓器が関与するmultiple parallel hit 説が有力とされております[Tilg et al, 2021]。MASH病態に密接に関与している臓器として、脂肪組織が挙げられます。 脂肪組織は余剰エネルギーを蓄えておく器官としてだけでなく、TNF-aやIL-6、アディポネクチン等の種々のアディポサイトカイン分泌器官としても機能し、他臓器の代謝や炎症に影響を及ぼすことが知られています。 特にアディポネクチンは、インスリン感受性の増強や糖、脂質代謝改善、抗炎症作用を有していることが知られております。NASH患者では、健常者と比較して血中アディポネクチンが低値を示しており、血中濃度が低い患者程より強い炎症を示すことが報告されていることからNASH病態の発症進展に大きく関与していると考えられています[Musso et al, 2005; Finelli et al, 2013]。 STAMTMモデルにおいても、同様に血中アディポネクチン濃度の低下が認められております。 今回の結果により、本モデルが肝臓のみならずMASH病態の発症進行に寄与しているとされる脂肪組織においても、同様に臨床相関性を有している可能性が示唆されました。 弊社では、STAMTMモデルを始め、炎症/線維化に関連した様々な病態モデルマウスを取り揃え、薬効評価試験サービスを提供しております。 その他、資料請求やご質問等ございましたらお気軽にご連絡ください。
2025.01.30
本記事では弊社のSTAMTMモデルとDAMPs/PAMPs関連因子の相関についてご紹介を致します。 炎症や線維化を引き起こす因子の一つとして、組織や細胞の障害に伴って放出されるダメージ関連分子パターン(Damage-associated molecule patterns; DAMPs)と 外来細菌や腸管細菌が死滅や破壊されることで放出される病原体関連分子パターン (Pathogen-associated molecule patterns; PAMPs)が知られています。 DAMPs/PAMPsは細胞内のパターン認識受容体 (Pattern recognition receptor; PRR)によって認識され、免疫応答を誘導します。 またPRRは、肝臓中のクッパー細胞や肝星細胞にも存在しており、DAMPs/PAMPsのシグナルを受け炎症・線維化を誘発します。 【ヒトでのDAMPs/PAMPsとNASHについて】 ヒトにおいてDAMPs/PAMPsは、NASHの発症や病態進行に関連していることが報告されております。 今回は、DAMPs/PAMPs 関連因子の一例としてS100 protein A8[1]、Toll-like receptor 4 [2]、NLRP3 [3]を解析致しました。 [1] Serhal R, Biomed Res Int., 2015、[2] Vespasiani-Gentilucci U, Liver Int., 2015、[3] Traber P, PLoS One, 2013 以下のデータは、弊社STAMTMモデルを用いて上記遺伝子発現を解析した結果です。 STAMTMモデルにおいて、いずれの遺伝子も発現上昇の傾向が確認されたことから、DAMPs/PAMPsを標的にした治療薬の評価に本モデルを利用できることが示唆されました。 弊社では本モデルの経時的なRNAシークエンスデータを取得しており、今回解析した遺伝子以外にも、お問い合わせいただければ標的因子の調査が可能です。 その他、資料請求やご質問等ございましたらお気軽にご連絡ください。
2025.01.30
本記事ではSTAMTMモデルとHSP47などの線維化関連因子との相関についてご紹介を致します。 NASHは、単純性脂肪肝と異なり肝線維化を経て最終的に肝ガンに至る進行性の肝疾患です。 線維化ステージ後期である肝硬変や肝がんは、肝不全や死亡などのリスクが伴うことから、肝線維化改善はNASH治療戦略の重要な要素だと言えます。 【NASHにおける線維化について】 慢性的な炎症を通じて産生されたTGFβやMCP-1などのサイトカインを介して、肝星細胞はコラーゲンを産生する筋線維芽細胞様に形質転換することが知られています。 またコラーゲンは線維芽細胞内で未成熟な状態で合成された後、フォールディングを受け成熟型コラーゲンとして細胞外へ産生されます。 コラーゲンのフォールディングには様々な分子が関与していますが、中でもHSP47という分子はコラーゲン特異的に機能しています。 ヒトの肝線維化においては、HSP47の発現上昇が確認されており[1]、近年ではHSP47をターゲットとしたNASHを含む線維症治療薬候補として開発が行われております。 以下のデータは、弊社STAMTMモデルを用いた実施したRNAseqの結果より、HSP47を含む線維化関連因子を抜粋したものになります。 いずれの週齢においても各遺伝子発現量の上昇傾向が確認されており、本モデルが線維化関連因子を標的にした治療薬の薬効評価に活用できることが示唆されました。 [1]: KE Brown et al. Lab Invest. 2005 本モデルの経時的なRNAseqデータを活用して、事前に被験物質の標的因子の挙動を解析することが可能でございます。 またSTAMTM以外にも、弊社は食事誘導性のNASHモデルや急性肝疾患・肝硬変モデルなども有しております。 さらに、他の臓器における炎症・線維化モデルも多数ご用意しておりますので、詳細は是非お問い合わせください。
2025.01.30
STAMTMモデルのHCC関連データをご紹介します。 今日における肝細胞癌(HCC)の原因は、B型・C型肝炎ウイルス感染に由来する慢性肝疾患ですが、近年の治療法進歩によりウイルス感染に由来するHCC患者は、今後、減少すると考えられています。 一方で、生活習慣の変化に伴いNAFLDおよびNASH患者が増加し、それらに由来したHCC患者の増加が懸念されています[1]。 HCCの発癌メカニズムには、様々な分子生物学経路が関与しています。 今回は、主要経路の1つであるWnt/β-catenin経路について、弊社STAMTMモデルにおける遺伝子発現データをご紹介致します。 ヒトHCCでは、しばしばβ-catenin遺伝子の変異が生じており、その下流シグナル活性化が報告されています[2]。 弊社にて取得したRNAseqデータを用いて、STAMTMモデルにおけるβ-cateninおよびその下流シグナルの遺伝子発現を解析致しました。 また本モデルのHCCフェーズでは、半数の個体にβ-catenin遺伝子の変異が認められました。 そのため、Wnt/β-catenin経路においてヒトと同様の遺伝子発現パターンを示すことから、STAMTMモデルはHCCに対する薬効を検証する上で有用なモデルの一つだと言えます。 [1]:McGlynn et al. Hepatology. 2021 [2]:Z Wang et al. Mol Clin Oncol. 2015 HCC研究では、単一モデルだけではなく複数モデルを組み合わせた研究が不可欠であると考えられています。 現在、癌領域の研究をご検討されている場合、本モデルを癌領域の研究に活用するのはいかがでしょうか。
2025.01.29
MASHモデル(STAMTM)のMASHマーカーについて、ご紹介させて頂きます。 MASHの診断において、肝細胞の風船様腫大は単純性脂肪肝とMASHを区別するために重要な所見です。 風船様腫大を同定する上で有効とされている非侵襲性マーカーの1つにCK-18(サイトケラチン18)があります。CK-18はAASLDのFDAのワークショップでearly phaseのNASHマーカーとして推奨されており、これまでの臨床試験でも、病理との関連性が報告されています[Arun J. S, et al., Hepatology, 2015]。 弊社のSTAMTMでの血漿中のCK-18の解析結果には、以下のような特徴がございます。 STAMTMのCK-18 – 初期MASHを表す6週齢以降から上昇する – 病態の進行(単純性脂肪肝からNASH、線維症に至るまで)に伴い段階的に上昇する – ヒトのMASH H患者と同程度の上昇を示す[Ariel E. Feldstein et al., Hepatology, 2009] 弊社では、臨床相関性の高いMASHモデルをご提供させていただいております。 また、STAMTMマウスモデルに関する情報はこちらからご確認頂けます。 STAMTMマウスモデル
2025.01.29
本日はMASHの非侵襲性線維化マーカーについてご紹介致します。 現在、MASH診断において、最も信頼性の高い診断方法は、肝生検による病理組織学的検査となっています。しかし、肝生検はサンプリングエラーや患者への負担などの問題点があり、それに代わる非侵襲性の早期診断マーカーの開発が期待されています。 その中でも、今回は線維化の血中バイオマーカーである【プロコラーゲンIII-N末端ペプチド(PIIINP)】をご紹介致します。 PIIINPはⅢ型コラーゲン合成時に放出される末端ペプチドで、線維化の進行に伴い血中濃度が上昇することが予想されており、 臨床においては、単純性脂肪肝とNASHを区別できる有用なマーカーであることが示唆されています[Tanwar et al., Hepatology., 2013]。 弊社のMASHモデルマウスであるSTAMTMで血中のPIIINPを解析したところ、6週齢および9週齢時では、血漿PIIINP濃度の有意な上昇は見られませんでした。 一方、12週齢においては、有意差な上昇が確認されました。 STAMTMモデルでは、9週齢で線維化が確立しているにもかかわらず、線維化が進行している12週齢でのみ有意な上昇がみられたことから、より早期の段階で線維症の発症を検出できる方法を検討することが今後の課題と考えております。 弊社では今回ご紹介したPIIINPの他、様々なMASHの非侵襲性バイオマーカーの有効性の評価を行っておりますので、ご興味のあるマーカーがございましたら是非お問い合わせください。
2025.01.29
本日は、原発性硬化性胆管炎 (PSC)モデルである、3,5-Diethoxycarbonyl-1,4-Dihydrocollidine (DDC)誘発性 胆汁うっ滞性肝疾患モデルマウスをご紹介します。 原発性硬化性胆管炎 (PSC) PSCは胆管に生じる斑状の炎症、線維化、および狭窄を特徴とする慢性的な胆管障害で、末期まで進行すると肝臓移植が必要とされます。 現状、PSCの治療薬として知られるウルソデオキシコール酸は進行を完全に抑えるほどの効果はなく、PSCの根治療法は開発段階にあります。 DDCモデルについて DDCモデルの病態は、マウスにDDCを混餌投与することで、胆管周囲の線維化や細胆管反応を誘導します。 本モデルは、米国肝臓学会議 (AASLD)や欧州肝臓研究協会 (EASL)が示すPSCの診断基準の項目に含まれる、血液マーカーのALP値の上昇や、肝組織像における胆管周囲線維化(”onion skin” periductal fibrosis)が観察される、臨床相関性の高いPSCモデルです。 PSCや胆管炎、胆管の線維化に対する薬効評価試験をお考えの場合、本モデルを検討してみてはいかがでしょうか。 モデル情報はモデルラインナップページよりご確認ください。 詳細に資料に関しては、コンタクトフォームからお問い合わせください。
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