コラムcolumn

SMCラボラトリーズが毎⽉発信している研究コラムをご覧いただけます。

2025.01.30

イミキモド誘発性乾癬モデルのご紹介

乾癬モデルである「イミキモド(IMQ)誘発性皮膚炎モデル」についてご紹介いたします。   乾癬は、遺伝的素因や環境因子等の複数因子が関与して発症する慢性難治性疾患の一つであり、紅斑や鱗屑等の皮膚に特徴的な症状が認められる疾患です。 その患者数は国や地域によって異なりますが、世界人口の2-4%とされており深刻な問題となっております。 またこれまで様々な治療方法が開発されてきましたが、未だ根治法が確立されておらず、アンメットメディカルニーズの多い疾患の一つでもあります。   今回ご紹介するIMQモデルは、乾癬モデルとして広く使用されており、ヒト患者に認められる表皮角化細胞の増殖・分化異常に伴った表皮肥厚や各種炎症細胞の浸潤、IL-23/IL-17経路を介した病態が確認されております。 弊社では、IMQモデルの他、弊社では炎症/線維化/癌に関連した様々な病態モデルを取り揃え、薬効評価試験サービスをご提供しております。 資料のご請求やご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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2025.01.30

シリカ誘導性肺線維症モデルのご紹介

本記事では、肺線維症のマウスモデルである「シリカ誘導性肺線維症モデル」をご紹介いたします。   シリカモデルは、肺の線維化が早期に起こり且つ長期的に維持されるため、肺線維症の治療試験に有用なモデルマウスの一つです。 一般的に、ヒトの肺線維症は緩解しませんが、代表的な肺線維症モデルのブレオマイシンモデルは、病態誘導から3週間程度で線維化が緩解します。一方で、シリカモデルの線維化は9週間程度も維持されます。 したがって、線維化が維持される特徴を持つシリカモデルは、線維化が緩解するブレオマイシンモデルを補完するモデルとして、より臨床相関性の高い薬効評価試験を可能にすることができます。   シリカモデルの病態は、肺胞内に侵入したシリカにより、炎症が起こり、間質の線維化が長期的に誘導されます。また、本モデルはヒトの珪肺症を模しており、珪肺症でも観察される結節も形成されます。 特発性肺線維症 (IPF)や、進行性肺線維症 (Progressive pulmonary fibrosis, PPF)に含まれる間質の線維症をターゲットとしている場合、シリカモデルを用いた薬効評価試験が有用だと考えられます。 また、既にブレオマイシンモデルによる薬効評価を試したが、異なるモデルでもデータを取得したい場合や、肺線維化が持続するモデルで評価を実施されたい場合は、本モデルによる薬効評価試験をご検討いただければ幸いです。   弊社が取り扱っているブレオマイシンモデルとシリカモデルの比較など、当モデルにご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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2025.01.30

肝癌モデルマウスにおける腫瘍血管新生について

本記事では、肝細胞癌を自然発症するSTAM™モデルにおいて、腫瘍血管新生に関するデータをご紹介いたします(Suzuki et al. Transl Oncol. 2021)。   腫瘍組織における血管新生は、腫瘍の増殖に必要な酸素と栄養素を確保する上で重要な役割を果たします。 中でも肝細胞癌は、腫瘍組織に発達した血管網を形成する典型的な多血性腫瘍の一種であり、血管新生阻害を介した治療効果が期待されています。   本論文において、STAM™モデルに抗癌剤Sorafenibの単剤投与またS-1(Tegafur-gimeracil-oteracil)との併用投与を行ったところ、腫瘍数の減少だけでなく、腫瘍血管新生の指標である微小血管密度(CD31染色)の減少が認められました。   LenvatinibやBevacizumab等、現在の肝細胞癌の薬物治療は「腫瘍血管新生」の抑制が着目されています。 もし腫瘍血管新生を標的とする化合物をお持ちでしたら、弊社STAM™モデルを用いた薬効評価試験をご検討いただけますと幸いでございます。   弊社ではSTAM™モデルを始め、炎症/線維化/癌に関連した様々な病態モデルマウスを取り揃え、薬効評価試験サービスを提供しております。 資料請求やご質問等ございましたらお気軽にご連絡ください。

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2025.01.30

肝細胞癌モデル(DEN-CCl4 model)のご紹介

肝細胞癌(HCC)モデルとして使用されているDEN-CCl4モデルについてご紹介させて頂きます。   当社はヒトの肝硬変由来の肝細胞癌の発症に関係する病理生理学的現象にフォーカスし、30週齢で100%肝腫瘍を発症するDEN-CCl4モデルをご提供しております。   主要なエンドポイントは、腫瘍の大きさおよび数、病理解析(シリウスレッド染色による線維化評価)になります。   また、DENモデルとDEN-CCl4モデルの比較表を以下にてお示しします。 上記の通り、DEN-CCl4モデルではDENモデルと比較して短い期間で再現性良く病態発症が可能なモデルとなっております。 こちらのモデルではSTAMTMモデルと異なり糖尿病の背景を持たないため、そのような肝がんを対象とされている場合、こちらがお勧めできるモデルとなります。   弊社専門チームとの打ち合わせにより最適な試験デザインをご提案することも可能ですので、ぜひお問い合わせください。

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2025.01.30

肝臓疾患とサルコペニアの関係性に関するご紹介

本記事では、肝臓と骨格筋の相互関係についてご紹介させていただきます。   肝臓は他の臓器と密接に連携していることが知られており、弊社も肝臓と腸の関係性についていくつか触れてきましたが、肝臓は筋肉とも連携しております。 以前より、サルコペニアをはじめとする筋肉量の低下がNASHやNAFLDの発症や病態の悪化に関与していることが分かってきております。   通常の肝臓は食事から得られたエネルギーを蓄えますが、NASHや肝硬変などで機能が低下している肝臓ではエネルギーの貯蔵量が低下します。このエネルギーの不足を補うために、骨格筋から分岐鎖アミノ酸(BCAA)と呼ばれるタンパク質源などがエネルギー源として供給されますが、代わりに骨格筋が痩せていきます (Moriwaki et al., Biochem Biophys Res Commun. 2004)。 また、筋肉量の低下は、NAFLDの病態を悪化させるリスクと密接に関連していることも明らかになっております (Shida et al., J Gastroenterol. 2018)。 さらに、非肥満型の NAFLD 患者では、筋肉量および筋力の低下、筋萎縮、内臓脂肪の増加がリスク要因となっていることも報告されております (Shida et al., Hepatol Res. 2020) これらのことから、筋肉の量や筋肉の質、機能を補うような治療薬の開発や介入方法がNAFLD/NASHの治療や予防に必要であると思われます。   Fig. NAFLD/NASHの肝臓と筋肉の概要 NAFLD患者では、筋量が少なく、筋脂肪が多いミオステアトーシスが非常に多くみられる。サルコペニアはNAFLD/NASHのリスク上昇と密接に関連していることが示唆されている (Chakravarthy et al., Front Endocrinol (Lausanne). 2020)。   弊社はこれまで炎症と線維化の分野に特化した病態モデル動物を用いた非臨床試験をご提供して参りました。 STAM™マウスは弊社SMCラボラトリーズが開発した世界初の非アルコール性脂肪性肝炎から肝ガンを発症する病態モデルマウスであり、後期2型糖尿病の背景を有し、ヒトNASHと類似した臨床相関性の高い病態を発症します。 これまでに、STAM™マウスはNAFLDやNASHの進行に伴って腸内細菌叢が変化し、dysbiosisが起こるため肝臓と腸の相関性が明らかになっております (Guoxiang et al., Oncotarget., 2016)。 筋肉も同様に、STAM™マウスの病態の進行に相関する可能性が示唆されます。 STAM™マウスをはじめ、肝臓と筋肉の関連に着目したNAFLD/NASHの創薬研究に役立つモデルの開発や情報につきまして、アップデートがありましたらご連絡させていただきます。   詳細についてのお問い合わせや、ご質問等がございましたらお気軽にご連絡ください。

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2025.01.30

臨床相関性の高いHCCモデルマウスのご紹介

本記事では、弊社クライアント様がProc Natl Acad Sci U S A.に投稿された論文についてご紹介いたします (Dow, et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2018)。   STAMTMマウスは、NASHを背景として肝ガンを自然発症する病態モデルマウスです。 本論文では、肝ガンフェーズのSTAMTMマウスの肝臓サンプルを用い、ヒト肝ガン患者の肝臓サンプルと比較したトランスクリプトーム解析を実施しております。 興味深いことに、STAMTMマウスの肝ガンは、他の肝ガンモデル(MUP, TAK1, DEN)と比較して、ヒトの分子パターンに最も近いことが報告されました。   ヒト肝ガン患者と同様にCtnnb1遺伝子に頻繁な変異があり、その下流経路であるWnt経路や細胞周期に関する経路、クロマチン修飾経路でも同様な変異が見られました。 また、STAMTMマウスの肝ガンは、ヒトにおける悪性度の高い増殖性腫瘍と類似していることが示されました。 以上のことから、STAMTMマウスがヒト肝ガン患者と比較して、遺伝子レベルで高い臨床相関性を示すことが示唆されました。   もし肝ガンに対する薬効評価試験をご検討中であれば、弊社STAMTMモデルをぜひご一考いただければ幸いです。 弊社ではお客様の化合物やご要望に合わせて、肝ガンの予防試験や治療試験など、試験デザインを提案することが可能です。 STAMTMマウスの利用にご興味ある場合は是非お問い合わせください。

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2025.01.30

肝臓疾患における腸肝軸異常の影響

本記事では肝臓疾患であるMetabolic Dysfunction-Associated Steatotic Liver Disease (MASLD)と腸の関係についてご紹介を致します。   MASLDは脂肪肝→Metabolic Dysfunction-Associated Steatohepatitis (MASH)→肝線維化と病態進行を示し、最終的に肝ガンまで進行する疾患となります。 MASLDは食事や代謝異常などの様々な要因が病態進行に関わることから、現在ではmultiple-parallel hit仮説が広く受け入れられています。 病態進行の要因として酸化ストレス、脂肪毒性、ミトコンドリア機能異常などがあり、近年、注目されているのが腸肝軸(gut-liver axis)の異常になります。 腸と肝臓は門脈という血管で繋がっており、肝臓の血液供給の約70%は門脈を介しています。そのため、腸に由来する一連の細菌、細菌の代謝物や毒素が、門脈を通じて肝臓に影響を与えます。 NASH患者ではマイクロバイオームの変化や腸粘膜の透過性向上 (Leaky Gut)などが示されています(Lixin et al., Hepatology, 2012; Jay et al., CMGH, 2015)。 実際にマウスモデルを用いた解析から腸粘膜の透過性向上、細菌の異常増殖、腸内毒素症などの腸肝軸の機能障害が、炎症や線維化の進行に寄与することが示されています(Samuele et al., Hepatology, 2013; Lau et al., BioMed Res. Int.,2015)。   上記の理由から、腸の異常も兼ね備えた病態モデルを用いることで、より正確なMASHの評価が可能であると考えられます。弊社SMCラボラトリーズが開発した世界初のMASHから肝ガンを発症する病態モデルマウスSTAMTMではマイクロバイオームの変化を示すことが報告されています(Guoxiang et al., Oncotarget., 2016)。プロバイオティクスによる腸内環境の改善に伴い、MASH病態の改善が示されているため、もし腸疾患の改善に繋がる化合物をお持ちの場合は評価してみるのはいかがでしょうか。   その他、資料請求やご質問等ございましたらお気軽にご連絡ください。

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2025.01.30

NASHモデルを用いた薬効評価試験実績_ 間葉系幹細胞由来の細胞外小胞(MSC-sEV)

本記事では、弊社クライアント様 【Agency for Science, Technology and Research (A*STAR) (SGP)】がInt. J. Mol. Sci.誌に論文を投稿されましたのでご紹介させていただきます。 Title: MSC-sEV Treatment Polarizes Pro-Fibrotic M2 Macrophages without Exacerbating Liver Fibrosis in NASH (Zhang et al., Int J Mol Sci., 2023)   本論文では、間葉系間質細胞/幹細胞由来の細胞外小胞 (MSC-sEV)のNASH治療効果について、STAM™マウスを用いて評価されております。     本論文ではMSC-sEVがNASHの治療に有用であることが示唆されました。 vehicle投与群のSTAM™マウスと比較して、MSC-sEVを投与したNASHフェーズのSTAM™マウスでは、NASHの主要な臨床エンドポイントであるNAFLD activity scoreおよび肝臓の線維化面積が有意に減少したことが示されております。   STAM™マウスは弊社SMCラボラトリーズが開発した世界初のNASHから肝ガンを発症する病態モデルマウスです。ヒトNASHと類似した病態(脂肪肝→NASH→肝線維化→HCC)を発症することから、NASH診断に用いるNAFLD activity scoreによるNASH病態の評価も可能であり、これまで多くの薬効評価試験や基礎研究に活用されてきました。

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2025.01.30

腸内環境を改善して肝がんを防ぐ

本記事では、弊社の慢性肝疾患 (MASH/NASH)による肝がんモデルマウスを用いた薬効評価試験の実証例をご紹介いたします。 弊社の肝がんモデルマウスを使った薬効評価試験にて、肝臓だけではなく腸も重要な肝がん治療における標的臓器であることがわかりました。   Title: Gut insulin action protects from hepatocarcinogenesis in diabetic mice comorbid with nonalcoholic steatohepatitis (Soeda K et al., Nat Commun. 2023) PMID: 37852976   これまでの肝がん治療法は肝臓に焦点を当てきましたが、今回の発表により、腸のdysbiosisに焦点を当てて肝がんを治すという新しい肝がんの治療法が初めて報告されました。   肝がんモデルマウスにInsulinを投与すると、血中インスリン濃度が改善するだけではなく、MASH/NASHに伴う腸内細菌叢の変化やリーキーガットが改善し、肝がんの腫瘍数やサイズが有意に減少しました。   本研究で実施された解析項目に加え、本モデルマウスでは生存率やCTによりin-lifeでの腫瘍数・サイズの解析、癌マーカーのグルタミンシンターゼの発現等の病理組織的解析を実施することが可能です。   したがって、Dysbiosisや腸疾患に着目している方は、当社肝がんモデルマウスを使うことでother indicationとして慢性肝疾患に起因する肝がんに対する薬効を評価することが可能であることが示されました。   これまでの肝がんの主な原因はウイルス性肝炎ですが、ワクチン接種によるウイルス性肝炎の予防を通じて肝がんの発症を抑えられる可能性が示されており (Chang, et al. Gastroenterology. 2016)、ウイルス性肝炎由来の肝がんは克服できることが予想されます。 一方で、MASH/NASHは肝臓において酸化ストレスの亢進や免疫システムや代謝システムの異常を引き起こすことで肝がんのリスクファクターと考えられており、現段階ではMASH/NASHの予防方法や治療方法はありません。したがって、MASH/NASH患者の増加に伴ってMASH/NASHに起因する肝がんの患者も増加し続けることが予想されています (Estes, et al. Hepatology. 2018; Llovet et al., Nat Rev Dis…

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2025.01.30

腸内細菌叢に着目したNASH治療薬の研究開発

本記事では 腸内細菌叢 (microbiome)に着目した代謝異常関連脂肪肝炎 (MASH)の治療法と、STAM™マウスを用いた研究例についてご紹介いたします。 近年、腸内環境を変化させることにより、疾患の治療や予防に結びつける試みが世界で活発に行われています。代謝異常関連脂肪肝炎 (MASH)においても、腸管透過性の亢進やDysbiosis、胆汁酸の代謝異常等を介して、MASH病態と腸内細菌叢との関連性が示唆されており、腸内細菌叢が治療ターゲットとして注目を集めています[1-3]。   MicrobiomeとMASHに関するSTAM™マウスを用いたin vivo研究 Guoxiangらは、STAM™マウスでは、腸内のBacteroidesやClostridiumの増加をはじめとした腸内細菌叢の変化が起き、それらは血中や肝臓のLPS濃度の上昇やNAFLD Activity Scoreの上昇と相関することを報告しています[4]。また、これらの腸内細菌叢の変化はヒトNASHでも観察されております[5, 6]。 さらに、Tsumura & Co. (JPN)は、STAM™マウスを用いたMASH薬効評価試験において、漢方薬の大柴胡湯がNAFLD activity scoreや腸内細菌の多様性を改善することを明らかにし、腸内細菌叢にアプローチしたNASHの治療戦略の有効性を示唆しております[7]。   以上のことから、STAM™マウスが腸内細菌叢に着目したMASH治療薬の研究開発に適したプラットフォームであると言えます。   腸内細菌叢やMASH/MAFLD関連の治療薬開発や研究のプロジェクトをお持ちの方は、STAM™マウスを用いたin vivo試験を検討してみてはいかがでしょうか。 ご関心やご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。   引用文献 1. Zhu L et al., Hepatology. 2013 2. Luther J, et al. Cell Mol Gastroenterol Hepatol. 2015 3. Tsay CJ, et al. Clin Liver Dis (Hoboken). 2022 4….

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