2025.02.02

NASHモデルを用いた薬効評価試験実績

本記事では、弊社クライアント様がGeneに投稿された論文についてご紹介いたします (Ishizawa et al., Gene. 2022)。

 

 

こちらの論文では、弊社が開発したNASHモデルマウス 【STAM™マウス】を用いた薬効評価の結果が示されております。
STAM™マウスは2型糖尿病を背景に持ち、経時的に脂肪肝→NASH→線維化→肝ガンを自然発症する病態モデルです。

 

本論文では、脂肪肝フェーズからNASH初期フェーズまでのSTAM™マウスに漢方である大柴胡湯を投与しており、大柴胡湯が腸内細菌叢を変化させることで脂肪肝を改善することが報告されております。
脂肪肝についてはNAFLD activity score (NAS)により評価されており、大柴胡湯を投与したSTAM™マウスではNASが有意に低値を示しております。
また、腸内細菌叢の多様性指数や通常の主要構成細菌の割合は、通常マウスと比較して、STAM™マウスでは低値を示しましたが、大柴胡湯を投与したSTAM™マウスでは改善されていることが示されております。

 

NAFLDおよびNASHは腸肝軸や腸内細菌叢が大きく関与していることが知られております。
腸から肝臓への血液供給は門脈という血管を介しており、腸に由来する一連の細菌、細菌の代謝物や毒素が、門脈を通じて肝臓に影響を与えます。
実際に、ヒト及びSTAM™マウスにおいて、腸内細菌叢の変化による腸内環境の悪化はNAFLDおよびNASHの発症や悪化に関与することが報告されております (Lixin et al., Hepatology, 2012; Jay et al., CMGH, 2015; Guoxiang et al., Oncotarget., 2016)。

 

本論文のように、腸内環境を改善することは、NAFLDやNASHの治療や予防に役立つことが期待されます。
腸内環境の改善に作用するプロバイオティクスやプレバイオティクスや、腸疾患の改善に繋がる化合物をお持ちの場合は評価してみるのはいかがでしょうか。

 

STAM™モデルを用いて、お持ちの化合物で薬効評価試験を試してみませんか?
これまでの経験を用いて試験をご提案することも可能です。

 

STAM™マウスの利用にご興味ある場合は、お気軽にお問い合わせください。