[肝癌:主要経路Wnt/β-catenin]ヒトと同様の遺伝子発現パターンを示すNASH-肝癌モデル
STAMTMモデルのHCC関連データをご紹介します。
今日における肝細胞癌(HCC)の原因は、B型・C型肝炎ウイルス感染に由来する慢性肝疾患ですが、近年の治療法進歩によりウイルス感染に由来するHCC患者は、今後、減少すると考えられています。
一方で、生活習慣の変化に伴いNAFLDおよびNASH患者が増加し、それらに由来したHCC患者の増加が懸念されています[1]。
HCCの発癌メカニズムには、様々な分子生物学経路が関与しています。
今回は、主要経路の1つであるWnt/β-catenin経路について、弊社STAMTMモデルにおける遺伝子発現データをご紹介致します。
ヒトHCCでは、しばしばβ-catenin遺伝子の変異が生じており、その下流シグナル活性化が報告されています[2]。
弊社にて取得したRNAseqデータを用いて、STAMTMモデルにおけるβ-cateninおよびその下流シグナルの遺伝子発現を解析致しました。
また本モデルのHCCフェーズでは、半数の個体にβ-catenin遺伝子の変異が認められました。
そのため、Wnt/β-catenin経路においてヒトと同様の遺伝子発現パターンを示すことから、STAMTMモデルはHCCに対する薬効を検証する上で有用なモデルの一つだと言えます。
[1]:McGlynn et al. Hepatology. 2021
[2]:Z Wang et al. Mol Clin Oncol. 2015
HCC研究では、単一モデルだけではなく複数モデルを組み合わせた研究が不可欠であると考えられています。
現在、癌領域の研究をご検討されている場合、本モデルを癌領域の研究に活用するのはいかがでしょうか。