非アルコール性脂肪肝炎(NASH)由来の肝癌は世界的な増加を示している
本記事では、癌の中でも罹患率の高い癌の一つである肝臓癌と肝臓疾患として急激な増加を示している非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の関係についてご紹介致します。
昨年、Nature Reviews Gastroenterology & Hepatologyに下記タイトルの論文が発表されました。
Global epidemiology of NAFLD-related HCC: trends, predictions, risk factors and prevention
10年以上前から弊社が着目してきたNAFLD-related HCCの存在が世界的にも認知されるようになってきています。
・肝細胞癌とは
肝臓癌は世界で6番目に多いガンであり、2020年では癌関連の死因3位に位置する癌種です。
その中でも肝細胞癌(HCC)は肝臓癌の約90%を占めていることが知られています。
このHCC発症の原因としては、B型・C型肝炎、アルコール、糖尿病などが知られていますが、近年注目を集めているのがNAFLD/NASHになります。
・NASHとHCCの関係性について
NASHとは、非アルコール性の脂肪肝炎であり、脂肪肝から肝炎、線維化、そして最終的に肝癌に進行するという特徴を持ちます。
この疾患が注目を集めている理由として、NAFLD/NASH患者数と共に想定される潜在患者の多さにあります。
生活習慣変化に伴い、糖尿病や肥満を示す人口が多くなり、世界人口の1/4がNAFLDに罹患していると推定されており、NASHの発生率は今後10年間で最大56%も増加すると予測されています。
今日における肝細胞癌の原因は、B型・C型肝炎ウイルス感染に由来する慢性肝疾患ですが、近年の治療法進歩によりウイルス感染に由来するHCC患者は、今後減少すると考えられています。
一方で、生活習慣の変化に伴うNAFLD/NASH患者の増加により、これらに由来したHCC患者の増加が懸念されています。
弊社のSTAMTMマウスは弊社SMCラボラトリーズが開発した世界初のNASHからHCCを発症する病態モデルマウスであり、後期2型糖尿病の背景を有し、ヒトNASHと類似した病態(脂肪肝→NASH→肝線維化→HCC)を発症します。このマウスモデルでは各病態、及び現在増加が懸念されているNASH由来HCCに対する薬効評価試験が可能です。