2025.01.30

腸内細菌叢に着目したNASH治療薬の研究開発

本記事では 腸内細菌叢 (microbiome)に着目した代謝異常関連脂肪肝炎 (MASH)の治療法と、STAM™マウスを用いた研究例についてご紹介いたします。


近年、腸内環境を変化させることにより、疾患の治療や予防に結びつける試みが世界で活発に行われています。代謝異常関連脂肪肝炎 (MASH)においても、腸管透過性の亢進やDysbiosis、胆汁酸の代謝異常等を介して、MASH病態と腸内細菌叢との関連性が示唆されており、腸内細菌叢が治療ターゲットとして注目を集めています[1-3]。
 

MicrobiomeとMASHに関するSTAM™マウスを用いたin vivo研究
Guoxiangらは、STAM™マウスでは、腸内のBacteroidesやClostridiumの増加をはじめとした腸内細菌叢の変化が起き、それらは血中や肝臓のLPS濃度の上昇やNAFLD Activity Scoreの上昇と相関することを報告しています[4]。また、これらの腸内細菌叢の変化はヒトNASHでも観察されております[5, 6]。
さらに、Tsumura & Co. (JPN)は、STAM™マウスを用いたMASH薬効評価試験において、漢方薬の大柴胡湯がNAFLD activity scoreや腸内細菌の多様性を改善することを明らかにし、腸内細菌叢にアプローチしたNASHの治療戦略の有効性を示唆しております[7]。

 

以上のことから、STAM™マウスが腸内細菌叢に着目したMASH治療薬の研究開発に適したプラットフォームであると言えます。

 

腸内細菌叢やMASH/MAFLD関連の治療薬開発や研究のプロジェクトをお持ちの方は、STAM™マウスを用いたin vivo試験を検討してみてはいかがでしょうか。
ご関心やご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

 

引用文献
1. Zhu L et al., Hepatology. 2013
2. Luther J, et al. Cell Mol Gastroenterol Hepatol. 2015
3. Tsay CJ, et al. Clin Liver Dis (Hoboken). 2022
4. Xie G, et al. Oncotarget. 2016
5. Kolodziejczyk AA, et al. EMBO Mol Med. 2019
6. Sharpton SR, et al. Clin Gastroenterol Hepatol. 2019
7. Ishizawa S et al., Gene. 2022