肝臓病モデルマウスを用いた腸疾患の評価
本記事では、STAMモデルのデータについて、ご紹介したくご連絡致しました。
ABS-0579| Molecular Pathogenesis of Non-Alcoholic Steatohepatitis (NASH) through the Dysregulation of Metabolic Organ Network in the NASH-HCC Model Mouse Treated with Streptozotocin-High Fat Diet
本発表で、STAM™モデルにおいて腸粘膜透過性の向上 (Leaky Gut)が確認され、そのNASH病態の発症・進行に腸内環境の変化が関与している可能性が示唆されました。
STAM™モデルは、弊社SMCラボラトリーズが開発した世界初のNASHから肝ガンを発症する病態モデルマウスです。
ヒトNASHと類似した病態(脂肪肝→NASH→肝線維化→HCC)を発症することから、これまで多くの薬効評価試験や基礎研究に活用されてきました。
NASH患者では、腸管内のマイクロバイオームの変化やLeaky Gutなどが、病態に影響を及ぼすことが報告されております(Lixin et al., Hepatology, 2012; Jay et al., CMGH, 2015)。
腸と肝臓は門脈で繋がっており、肝臓の血液供給の約70%が門脈を介しています。そのため、腸に由来する一連の細菌、細菌の代謝物やエンドトキシンが、門脈を通じて肝臓に影響を与えます。
弊社では、STAM™モデルにおける肝臓と腸の相互作用を検討するために、各種解析を行いました。
腸管上皮のタイトジャンクション関連タンパク質であるZO-1を解析した結果、病態進行に伴い発現量の減少が確認されました(図1)。また、血液中のエンドトキシンの発現量の増加も確認されました(Fig.2)。
腸管におけるZO-1タンパクの発現低下や血中エンドトキシンの増加が確認されたことから、STAM™モデルはLeaky Gutを発症しており、腸管においてもヒトNASH患者の病態に相関していることが示唆されました。
プロバイオティクスによる腸内環境の改善に伴い、NASH病態の改善が示されているため、腸疾患改善に繋がる化合物をお持ちの場合は弊社STAM™でNASHへの効果を評価してみるのはいかがでしょうか。