線維化関連因子とSTAMモデルの病態について
本記事ではSTAMTMモデルとHSP47などの線維化関連因子との相関についてご紹介を致します。
NASHは、単純性脂肪肝と異なり肝線維化を経て最終的に肝ガンに至る進行性の肝疾患です。
線維化ステージ後期である肝硬変や肝がんは、肝不全や死亡などのリスクが伴うことから、肝線維化改善はNASH治療戦略の重要な要素だと言えます。
【NASHにおける線維化について】
慢性的な炎症を通じて産生されたTGFβやMCP-1などのサイトカインを介して、肝星細胞はコラーゲンを産生する筋線維芽細胞様に形質転換することが知られています。
またコラーゲンは線維芽細胞内で未成熟な状態で合成された後、フォールディングを受け成熟型コラーゲンとして細胞外へ産生されます。
コラーゲンのフォールディングには様々な分子が関与していますが、中でもHSP47という分子はコラーゲン特異的に機能しています。
ヒトの肝線維化においては、HSP47の発現上昇が確認されており[1]、近年ではHSP47をターゲットとしたNASHを含む線維症治療薬候補として開発が行われております。
以下のデータは、弊社STAMTMモデルを用いた実施したRNAseqの結果より、HSP47を含む線維化関連因子を抜粋したものになります。
いずれの週齢においても各遺伝子発現量の上昇傾向が確認されており、本モデルが線維化関連因子を標的にした治療薬の薬効評価に活用できることが示唆されました。
[1]: KE Brown et al. Lab Invest. 2005
本モデルの経時的なRNAseqデータを活用して、事前に被験物質の標的因子の挙動を解析することが可能でございます。
またSTAMTM以外にも、弊社は食事誘導性のNASHモデルや急性肝疾患・肝硬変モデルなども有しております。
さらに、他の臓器における炎症・線維化モデルも多数ご用意しておりますので、詳細は是非お問い合わせください。