2025.01.30

アルツハイマー病モデルマウスのご紹介

本記事では、弊社のアルツハイマー病モデルマウス 【icv-STZモデル】についてご紹介します。

 

アルツハイマー病について

アルツハイマー病は認知症の大部分を占める進行性の神経変性疾患であり、現在のところ根治できる治療薬はございません。

特徴として、脳内において主な原因物質であるアミロイドβの蓄積および神経原線維変化による神経細胞死が起こり、認知機能障害に至ります。

また、脳内ではアミロイドβの蓄積により、免疫細胞の活性化や酸化ストレスが起こり、慢性的な脳内炎症が誘発されます (Fig. 1)。

この脳内炎症は、アミロイドβの蓄積および神経障害を促進させることも報告されております(Kinney et al. Alzheimers Dement (N Y). 2018; Sandireddy et al., Int J Endocrinol. 2014)。

 

既存薬の神経伝達を助ける医薬品に加え、原因物質であるアミロイドβを除去する治療薬の開発が進められており、軽度認知障害の改善やアルツハイマー病の進行を予防することが期待されます。

一方で、アミロイドβの除去だけでは、進行している脳内炎症や神経障害を改善できず、認知機能を元に戻すことは難しいことが考えられます。

アミロイドβを標的とした治療薬に加え、脳内炎症や神経細胞を保護・再生する機能を持った治療薬の開発や、それらの併用療法がアルツハイマー病の根治に近づくと考えられます。

Fig.1 アルツハイマー病の脳内病理の進行  *MCI, mild cognitive impairment

 

icv-STZモデルについて

icv-STZモデルは、ストレプトゾトシン(STZ)を両脳室内に一度投与することで作製する孤発性アルツハイマー病モデルとして知られております (Kamat et al., Neural Regen Res. 2015)。

本モデルの特徴は、amyloid-βの産生は起こらず、STZによる酸化ストレスに起因した、グリオーシスや神経細胞死、認知機能の低下が認められます。

したがって、脳内炎症や酸化ストレスの抑制効果、神経細胞の保護作用をはじめ、アルツハイマー病初期段階の病態にフォーカスした、被験物質の薬効評価をすることが可能です。

Fig. 2 icv-STZモデルマウスの海馬におけるIba1発現

 

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