SMCラボラトリーズからのお知らせや新着情報を発信します。
第40回 日本レーザー医学会総会賞受賞論文にて当社クライアント(防衛医科大学校病院)による発表がありました。 Title “脂質性肝疾患の光診断“ 瀧端 康博 こちらの発表では、光計測による肝組織診断の有用性について、STAM™マウスを用いて報告されています。 STAM™マウスが経時的に脂肪肝→NASH→線維化を示すことから、各病態フェーズのSTAM™マウスの肝臓に対する光計測と、病理組織解析の相関性から、光計測が脂肪含有量や組織酸素飽和度を評価でき、NASH診断に有用であることが示されました。 当社では各病態フェーズのSTAM™マウスを用い、本発表の様な診断方法の評価や、薬効評価試験が可能です。 また、他のモデルマウスやこれまでの経験を用いて試験をご提案することも可能ですので、ぜひご相談・ご検討ください。 当社のサービスにご関心がある場合は、お気軽にお問い合わせください。 STAM™マウスについてはこちら。
本日は、原発性硬化性胆管炎モデルである(3,5-Diethoxycarbonyl-1,4-Dihydrocollidine)DDCモデルをご紹介します。 原発性硬化性胆管炎 (PSC)は胆管に生じる斑状の炎症、線維化、および狭窄を特徴とする慢性的な胆管障害で、末期まで進行すると肝臓移植が必要とされます。 PSCの治療薬にはウルソデオキシコール酸が知られていますが、進行を完全に抑えるほどの効果はなく、PSCの根治療法は開発段階にあります。 DDCモデルは、細胆管反応を経て胆管周囲の線維化へと進行していく点でヒトPSC病態と高い臨床相関性を示すモデルであり、以下のような特徴を有します。 ・胆管へのプロトポルフィリン蓄積に続く、硬化性胆管炎と胆管型肝線維症が誘発可能 ・外科モデルであるBDLモデルと比較して高い生存率を示し、再現性が高い ・ヒト胆汁うっ滞性疾患の主な組織病理学的特徴を再現可能 本モデルは、肝臓における病態変化に加え、ALTやAST、ビリルビン等の各種血液マーカーの増加も確認されております。 弊社では、本モデル以外にも炎症/線維化に関連した様々な病態モデルを取り揃え、薬効評価試験サービスをご提供しております。 その他、資料請求やご質問等ございましたらお気軽にお問い合わせください。
本日は肝臓疾患であるNonalcoholic steatohepatitis (NASH)と腸の関係についてご紹介を致します。 NASHの要因として酸化ストレス、脂肪毒性、ミトコンドリア機能異常などがあり、近年、注目されているのが腸肝軸(gut-liver axis)の異常になります。 腸と肝臓は門脈という血管で繋がっており、肝臓の血液供給の約70%は門脈を介しています。そのため、腸に由来する一連の細菌、細菌の代謝物や毒素が、門脈を通じて肝臓に影響を与えます。 NASH患者ではマイクロバイオームの変化や腸粘膜の透過性向上 (Leaky Gut)などが示されています(Lixin et al., Hepatology, 2012; Jay et al., CMGH, 2015)。 実際にマウスモデルを用いた解析から腸粘膜の透過性向上、細菌の異常増殖、腸内毒素症などの腸肝軸の機能障害が、炎症や線維化の進行に寄与することが示されています (Samuele et al., Hepatology, 2013; Lau et al., BioMed Res. Int.,2015)。 上記の理由から、腸の異常も兼ね備えた病態モデルを用いることで、より正確なNASHの評価が可能であると考えられます。 当社SMCラボラトリーズが開発した世界初のNASHから肝ガンを発症する病態モデルマウス STAM™マウス ではマイクロバイオームの変化を示すことが報告されています (Guoxiang et al., Oncotarget., 2016)。 また、STAM™マウスにおいて、化合物が腸内細菌叢を変化させることがNAFLDやNASHを改善することも報告されております (Pinheiro et al., Biomedicines. 2022; Ishizawa et al., Gene. 2022)。 プロバイオティクスによる腸内環境の改善に伴い、NASH病態の改善が示されているため、もし腸疾患の改善に繋がる化合物をお持ちの場合は評価してみるのはいかがでしょうか。 その他、資料請求やご質問等ございましたらお気軽にお問い合わせください。
Cells誌にて当社クライアント様 (Cellaïon (BEL))による論文発表がございました。 ■タイトル Human Allogeneic Liver-Derived Progenitor Cells Significantly Improve NAFLD Activity Score and Fibrosis in Late-Stage NASH Animal Model ( Najimi et al., Cells. 2022 ) 本論文では、著者らは、human allogeneic liver-derived progenitor cells (HALPCs)を当社のSTAM™マウスに移植したところ、NAFLD Activity Scoreが有意に改善されたことを報告しました。 これまでに、HALPCsは、肝細胞様細胞への高度な分化能を示し、強力な免疫調節・免疫抑制作用を有することが報告されています(Najimi, et al. Cell Transplant.2007; Khuu, et al.) 今回、STAM™マウスにおけるHALPCsの効果は、主に肝臓の炎症と肝細胞のBallooningを抑制することでNAFLD activity scoreを有意に低下させ、また肝周囲の線維化を約30%減少させることが確認されました。 本論文のように、細胞治療法はNAFLDやNASHの治療や予防に役立つことが期待され、当社のSTAM™マウスで薬効評価試験を実施が可能です。また、STAM™マウスはNASH治療薬の有効性を示す重要なクライテリアであるNASで評価が可能な病態モデルマウスです。 STAM™マウスをはじめ、他のモデルマウスやこれまでの経験を用いて試験をご提案することも可能ですので、ぜひご検討ください。 …
Gene誌にて当社クライアント様 (株式会社ツムラ)による論文発表がございました。 ■タイトル Integrated analysis of effect of daisaikoto, a traditional Japanese medicine, on the metabolome and gut microbiome in a mouse model of nonalcoholic fatty liver disease Ishizawa et al., Gene. 2022 本論文では、脂肪肝フェーズからNASH初期フェーズまでのSTAM™マウスに漢方である大柴胡湯を投与しており、大柴胡湯が腸内細菌叢を変化させることで脂肪肝を改善することが報告されております。 脂肪肝についてはNAFLD activity score (NAS)により評価されており、大柴胡湯を投与したSTAM™マウスではNASが有意に低値を示しております。 また、腸内細菌叢の多様性指数や通常の主要構成細菌の割合は、通常マウスと比較して、STAM™マウスでは低値を示しましたが、大柴胡湯を投与したSTAM™マウスでは改善されていることが示されております。 本論文のように、腸内環境を改善することは、NAFLDやNASHの治療や予防に役立つことが期待されます。 腸内環境の改善に作用するプロバイオティクスやプレバイオティクスや、腸疾患の改善に繋がる化合物をお持ちの場合は評価してみるのはいかがでしょうか。 また、STAM™マウスはNASH治療薬の有効性を示す重要なクライテリアであるNASで評価が可能な病態モデルマウスです。 STAM™マウスをはじめ、他のモデルマウスやこれまでの経験を用いて試験をご提案することも可能ですので、ぜひご検討ください。 ■当社のサービスにご関心がある場合は、お気軽にお問い合わせください。 ■STAM™マウスについてはこちら。
2022年10月12日(水)~14日(金)で開催されます 「BioJapan」 にオンサイトにて参加いたします。 本イベントは展示・セミナー・パートナリングで構成されるアジア最大級のパートナリングイベントであり、現地の展示ブースにて対面し、商談が可能です。創薬における非臨床試験のご相談をお待ちしております。 また、Zoomを用いたWeb会議による商談の実施も可能ですので、当社のサービスやSTAM™マウスにご興味・ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 ■BioJapan 【会期】 2022年10月12日(水)~14日(金)、 10:00~17:00 【場所】 パシフィコ横浜 (展示ホール、アネックスホール、ノース) 【アクセス】 https://jcd-expo.jp/ja/access-hotels.html 【主催】 BioJapan組織委員会 ㈱ JTBコミュニケーションデザイン 【URL】 https://jcd-expo.jp/ja/ 【ブース番号】 D-69 【サービス内容】 非臨床CRO [薬効評価試験・病理組織解析]
本日9月21日は“世界アルツハイマーデー”です。 先日、世界アルツハイマーデーを含めた世界アルツハイマー月間について触れましたが (ニュース記事はこちら)、本日はアルツハイマー病の治療薬の開発についてSMCの考えを発信したいと思います。 現在のアルツハイマー病治療薬はFDAの承認薬としては5種類(ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、メマンチン、アデュカヌマブ)があります。 これらの治療薬は、神経細胞の働きを補うものと、アルツハイマー病の原因と考えられているアミロイドβを脳内から取り除くものに分けられます。現状として、この5種類の治療薬ではアルツハイマー病の根治には至らず、発症を遅らせるような効果しか得られておりません。 アルツハイマー病の原因は脳内でアミロイドβが過剰に蓄積することであると考えられているものの、脳内で色々な現象が起こる複合的な病気であるため、単一の原因や現象にフォーカスした治療薬のみではなく、複合的な作用を発揮する治療薬やいくつかの治療薬の組み合わせが治療の鍵になるかもしれません。 アルツハイマー病は、アミロイドβの過剰な産生と蓄積により脳内の恒常性が破綻することから、免疫細胞が活性化し脳内で慢性炎症が起こることが考えられます 【Reference】。この脳内炎症は、アルツハイマー病発症前から発症まで病態に関与しています。さらに、アミロイドβの産生に脳内炎症が関与することも報告されていることから 【Reference】、脳内炎症もアルツハイマー病の原因の一つであるかもしれません。 したがって、アルツハイマー病の治療には、①アミロイドβの排除や阻害、②神経の活性化と保護 に加えて、③脳内の炎症を抑制し適切に制御することが重要なのではないかと考えます。 SMCではアミロイドβに依存しない脳内炎症を呈するアルツハイマー病モデルマウスとして、icv-STZモデルマウスを用いた薬効評価試験を提案することができます。 当社のサービスやicv-STZモデルにご興味・ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 ■「国際アルツハイマー病協会」(Alzheimer's Disease International; ADI) URL: https://www.alzint.org/ ■Reference Kinney et al., Alzheimers Dement (NY). 2018. ■icv-STZモデルについてはこちら
今回は、NASH治療薬の開発に欠かせない評価項目NAFLD activity score (NAS)とSTAM™マウスについて 紹介いたします。 NASH治療薬の開発における重要事項はアメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration; FDA)によるガイドラインに示されています。NASH治療薬開発の目的から有効性の評価については以下のように述べられております。 NASH 治療の究極の目標は、疾患の進行を遅らせる、止める、または逆転させることであり、臨床転帰を改善することである。 NASH の進行は遅く、肝硬変への移行や生存率などの臨床的エンドポイントを評価する試験の実施に時間がかかるため、FDA はNASで評価し、肝組織学的改善をエンドポイントとして検討することを推奨する。 病理組織学的な総合判定で脂肪肝炎が消失し、NASで肝線維化の悪化がないこと。脂肪肝炎の消失は、脂肪肝疾患がないこと、あるいは脂肪肝炎を伴わない孤立性または単純性脂肪症と定義し、NASスコアは炎症が0~1、バルーニングが0、脂肪症が任意の値であることを条件とする。 これらはガイドラインの一部ですが、上記3にもあるとおり、NASはNASH治療薬の有効性を示す重要なクライテリアであり、必要評価項目です。その内容は、肝臓生検の組織学的解析において、炎症(免疫細胞の集積)、バルーニング、脂肪摘の3つの病変の程度を数値化し、スコアリングするものです。 当社のSTAM™マウスは、NASにおける3つの病変が観察される画期的なNASHモデルです。すなわち、NASH患者の病態を反映した、臨床相関性の高いNASHモデルであると考えております。 STAM™マウスを使った薬効評価試験にて、NASH治療薬の開発を進めてみませんか? 現在臨床試験の段階にあるNASHの候補治療薬について、当社クライアント様がSTAM™を用いて化合物の薬効評価試験を行った論文も投稿されておりますので、ご興味のある方は是非、ご覧ください。 また、STAM™マウスのNASのデータや、組織像などの基本的なデータについて、詳細について興味のある方はお気軽にお問い合わせください。 ■FDAガイドライン Noncirrhotic Nonalcoholic Steatohepatitis With Liver Fibrosis: Developing Drugs for Treatment Guidance for Industry ■STAM™マウスについて ■STAM™マウスを用いた薬効評価試験の文献例 Farnesoid X Receptor Agonist:…
COVID-19の発生は、多くの合併症を引き起こし、特に重度の肺線維症を長期に渡って患者さんに害を及ぼします。 当社では、肺線維症の治療薬開発のためのマウスモデルとして、特発性肺線維症(IPF)モデルマウスを提供しており、その有用性をご紹介することで、多くのお客様にご利用いただいています。 特発性肺線維症のBleomycin誘導IPFモデルマウスとは? ブレオマイシンはがんの治療に用いられる化学療法剤ですが、その副作用のひとつに肺毒性があります。現在、ブレオマイシンは酸化ストレスによって肺にダメージを与え、肺のダメージが炎症反応や線維化反応を誘発すると考えられています。 SMCのBleomycin誘導IPFモデルのしくみ 当社のBleomycin誘導IPFモデルは、マイクロスプレイヤーを用いて気管内にブレオマイシンを噴霧状で投与することにより、ブレオマイシンを肺へ均等に暴露するため、再現性のある均一な病態を発症します。ブレオマイシンの局所投与により肺胞上皮細胞に直接損傷を与え、炎症性細胞の浸潤と間質性線維の発生を引き起こします。 SMCのプラットフォームと当社のIPFモデルのメリット – SMCの専門性: 安定的で再現性の高い表現型を持つIPFモデルを扱い、10年以上の経験を有しております。 – 様々なモダリティの100以上の物質の評価に使用されてきました。 – 予防と治療のための2つのポジティブコントロールが確立されており、クライアントのニーズに基づいた試験デザインをご提案します。 – CTスキャン、生化学、熟練した病理組織学者による組織学的解析など、複数の解析項目があります。 詳細について、またご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合せください。 ■COVID-19と肺線維症について ■Bleomycin誘導IPFモデルについて
9月は 「世界アルツハイマー月間」 です。アルツハイマー病について関心を深めてみませんか? 1994年、「国際アルツハイマー病協会」(ADI)は、世界保健機関(WHO)と共同で毎年9月21日を「世界アルツハイマーデー」と制定し、この日を中心に認知症の啓蒙を実施しています。また、9月を「世界アルツハイマー月間」と定め、様々な取り組みを行っています。 アルツハイマー病とは認知症の1種で、進行性の神経疾患です。アルツハイマー病には遺伝が関係しない孤発性と遺伝が関係する家族性の2つのタイプがありますが、90%以上の患者さんが孤発性アルツハイマー病です。アルツハイマー病の治療薬は4種類が承認されていますが、いずれも進行を遅らせるものであり、現段階では根治するための治療薬がなく、開発が急務です。 SMCではアルツハイマー病を主とする神経疾患の医薬品開発のための非臨床試験として、icv-STZモデルマウスを用いた薬効評価試験を提案することができます。 アルツハイマー病になると脳内では神経細胞がダメージを受け、修復のため炎症が起こります。しかしながら、疾患の進行に伴い炎症も続くため、慢性炎症状態となります。この慢性化した脳内炎症はアルツハイマー病の病態に悪影響であることが多く報告されています。したがって、アルツハイマー病の治療には脳内炎症を抑えることや、制御することが重要であると言えます。 icv-STZモデルは、マウスの脳内にストレプトゾトシンを投与することで、酸化ストレスに由来する神経へのダメージおよび免疫細胞の活性化が惹起される孤発性アルツハイマー病モデルマウスです。脳内炎症にフォーカスした薬効評価試験を提供することができます。 当社のサービスやicv-STZモデルにご興味・ご関心がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 ■「国際アルツハイマー病協会」(Alzheimer's Disease International; ADI) URL: https://www.alzint.org/ ■icv-STZモデルについてはこちら