Chitinase-1阻害がMASHの進行を抑制:代謝スイッチによる新たな治療戦略
2025年5月、Frontiers in Immunology誌にて、PolandのOncoArendi社および研究機関の共同研究チームが、CHIT1阻害薬OATD-01の研究成果を公表しました。本研究では、STAM™マウスを含む複数のMASHモデルを用いて、OATD-01がマクロファージの代謝を制御し、MASHの進行を抑制する可能性が示されました。
研究チームは、OATD-01をMASHモデルマウスに4週間投与し、肝臓における脂肪蓄積、炎症、線維化の抑制効果を評価しました。その結果、肝病理スコア(NAS)が有意に改善し、肝マクロファージの炎症マーカー(CD68, F4/80)の発現も低下しました。さらに、RNA-Seq解析により、脂質代謝や解糖系、ミトコンドリア機能など広範な代謝経路がOATD-01投与によって正常化されることが明らかとなりました。
加えて、in vitro試験では、骨髄由来マクロファージに対するOATD-01の投与により、グルコース取り込みの抑制とATP産生の増加が確認されました。この代謝スイッチにより、炎症性サイトカイン(IL-1β)の産生が抑制されることが示され、CHIT1阻害が肝内炎症の制御に寄与する新たなメカニズムが提唱されました。
本研究は、CHIT1阻害によるマクロファージ代謝の再プログラミングが、MASHの治療に有効である可能性を示すものであり、OATD-01の臨床応用が期待されます。今後もSMCラボラトリーズは、革新的な研究と高品質な非臨床試験サービスを通じて、医薬品開発を支援してまいります。