SMCラボラトリーズからのお知らせや新着情報を発信します。
疾患や病態の理解に伴う新しい概念である「代謝異常関連脂肪性肝疾患」について紹介します。 この疾患概念については、2020年のJournal of Hepatology誌にて合意声明が掲載されています。 上記論文の詳細をご覧になる場合はこちらをご確認ください。 非アルコール性脂肪性肝疾患から代謝異常関連脂肪性肝疾患へ 以前もご紹介させて頂いたように、生活習慣変化に伴い、糖尿病や肥満を示す人口が多くなり、既存の患者数と共に潜在患者の多さから非アルコール性脂肪性肝疾患が注目をされています。 非アルコール性脂肪性肝疾患という疾患の理解が進むにつれ、当時の診断基準の定義だけでは患者の実態に合わない例が認められるようになってきました。その現状に対し代謝異常関連脂肪性肝疾患という概念が示され、今後も非アルコール性脂肪性肝疾患自体は存在し続けるものの、疾患を一括りにするのではなく、原因や病態を細分化して薬の開発を行っていく必要性が加速していくと考えられます。 当社では既に代謝異常関連脂肪性肝疾患を想定したモデル開発を開始しており、アップデートがありましたらご連絡させて頂きます。 当社はこれまで炎症と線維化の分野に特化した病態モデル動物を用いた非臨床試験をご提供して参りました。 当社のSTAMTMマウスは弊社SMCラボラトリーズが開発した世界初の非アルコール性脂肪性肝炎から肝ガンを発症する病態モデルマウスであり、後期2型糖尿病の背景を有し、ヒトNASHと類似した病態を発症します。STAMTMマウスの詳細はこちらからご確認ください。
NASH領域において、これまで既存薬や新規開発品を用いた数多くの臨床試験が実施されてきましたが、未だNASH治療薬は上市されておりません。 この一因として、NASHが複雑な病態進行を辿ることが考えられ、ヒトの病態を完全再現できる動物モデルが確立されていないことが挙げられます。しかし、現状ではその複雑さに対応できる動物モデルの樹立は難しく、目的に応じて複数の動物モデルを使用し、病態への効果を多角的に評価することが必要になります。 STAM™モデルは、弊社SMCラボラトリーズが開発した世界初のNASHから肝ガンを発症する病態モデルマウスです。ヒトNASHと類似した病態(脂肪肝→NASH→肝線維化→HCC)を発症しますが、肝硬変は発症しないという特徴を有します。そこで本モデルに加え、肝硬変モデルであるCCl4誘発肝線維症モデル(CCl4モデル)を導入・補完することで、非臨床段階におけるNASH治療薬開発のトータルサポートが可能であると考えております。 図1:STAM™モデルおよびCCl4モデルの比較表 ご質問等ございましたらお気軽にご連絡ください。
当プログラムは、当社の企業理念である「既存薬では治療できない疾患に対する新薬とその新市場を創出し、患者QOLに貢献する」という企業テーマから医薬品マーケットにおける「新薬のより一層の研究開発促進」を目指して、当社が開発したNASH-HCC病態モデルマウス(以下「STAM™」)のさらなる利用促進を目指し、既存の価値にとらわれず、同分野における研究のテーマや手法に挑む多くの企業やアカデミア団体でのプロジェクトを支援していきたいとの観点からCSR活動の一環として公募研究を実施するものです。 今後2022年度に向けて新しい助成テーマの検討を進めることとし、「令和4年度 SMCラボラトリーズ株式会社 研究助成プログラム」を公募いたします。 応募について 1. 応募資格日本国内の公的研究機関、医療機関及び企業などに所属する45歳以下の研究者で、研究成果を論文学会等で積極的に発表できる方を対象とします。 *審査は公正に行い、審査内容は非公開とさせていただきます。 *現在当社と取引させていただいております研究者の方は対象外とさせて頂きます。 2. 公募する研究内容当社STAM™マウスを用いた試験の助成 試験開始時期は、2022年6月以降を予定しています。 3.募集期間 令和4年3月1日(火)~ 3月31日(木)17時必着 応募方法については、当社までお問合せください。
当社顧客であるMarvel Biosciences社からSTAM™マウスモデルを用いた薬効評価試験の結果が公表されました。 詳細は、Marvel Biosciences社のプレスリリースをご覧ください。 Marvel Biosciences Lead Asset MB-204 Show 47% Reduction in Liver Fibrosis and Active Indications in Multiple Pre-Clinical Models of Nash | MARVEL Biotechnology
COVID-19は肺炎だけでなく、肝臓や腎臓、腸などへの障害を引き起こす多臓器疾患として認識されつつあります。また、最近では後遺症として肺の線維化についても着目され始めています。 COVID-19はsevere acute respiratory syndrome (SARS)と同じくbeta-coronavirus classのウイルス感染に伴って発症します。 SARS流行時、感染の数週間後には肺部の線維化が報告されています。また、その後の追跡調査においても、1年経過後のSARS生存者の20%以上に肺線維症が観察されたことから、肺線維化が長期的な問題であることが分かります[David S. Hui et al., Chest., 2005; Lixin Xie et al., Respir Res., 2005]。 COVID-19患者においてもCT画像を用いた解析において線維化の症状が観察されたことが報告されており、感染に伴う急性炎症だけでなく、その後の長期間に渡って影響が及ぶことが予想されます[Zheng Ye., European Radiology, 2020]。 当社では肺の線維症モデルとしてIdiopathic pulmonary fibrosis (IPF)モデルを保有しており、多くの試験経験がございます。 ウイルス感染による肺の損傷によりIPFを発症することも報告されているため、COVID-19の流行が落ち着いた後に開発の必要性が高まることが予想されます。 COVID-19の感染予後である肺線維化の予防・治療について関心がある方がいらっしゃいましたら、今後のニーズを踏まえてIPFモデルをご活用するのはいかがでしょうか。 また肺線維化だけでなく、COVID-19発症後に認められるARDSに対しては、当社ではLPSモデルを提供しています。 弊社ではIPFモデルを始め、炎症/線維化に関連した様々な病態モデルを取り揃え、薬効評価試験サービスを提供しております。
フランスのENYO社は、2021年7月28日 抗NASH薬『Vonafexor』の良好な臨床試験結果を発表しました。 詳細は、下記のURLをご覧ください。 https://www.businesswire.com/news/home/20210728005557/en/ENYO-Pharma-Announces-Positive-Vonafexor-EYP001-Results-for-the-LIVIFY-Phase-2a-Study-in-F2-F3-NASH-Patients-over-12-weeks Vonafexor (EYP001)は、非胆汁酸型の次世代FXRアゴニストです。 同化合物は、非臨床試験でSTAM™マウスモデルを使用しており、STAM™マウスモデルにおいてNASHおよび線維化を改善したことを2019年のAASLDで発表しています。 http://www.enyopharma.com/wp-content/uploads/2019/11/2019-AASLD-Radreau-et-al-Preclinical-NASH.pdf 今後、Vonafexorのさらなる臨床試験の結果が得られることにより、STAM™マウスモデルのNASH臨床予測モデルとしてのエビデンスが得られると考えられます。
2021年5月21日にニューサイエンス社より発刊された「月刊細胞 2021年6月号」のIndustrial Info.に、当社NASHモデルマウスの記事”世界初のNASH-肝癌動物モデル-STAM™マウスの開発とその非臨床薬効評価試験における利用と大手海外製薬企業、アカデミアによるその活用実績”が掲載されました。 詳細は、ニューサイエンス社のウェブサイトをご覧ください。 月刊「細胞」2021年 6月号 ゲノム編集による新しいモデル動物 – 北隆館WEBサイト (hokuryukan-ns.co.jp)
当社顧客であるオーストラリアのAmplia Therapeutics社からSTAM™マウスモデルを用いた薬効評価試験の結果が公表されました。 詳細は、Amplia社のプレスリリースをご覧ください。 https://www.ampliatx.com/site/PDF/fd3f2d1f-9d2b-4fff-a6ad-13a3ea8d4956/ATXFAKInhibitorsReduceFibrosisinAnimalModelofNASH
イスラエルのChemomab社は、2021年4月26日NASH治療薬 『CM-101』の第2a相試験への最初の患者の登録を発表しました。 詳細は、下記のURLをご覧ください。 https://www.prnewswire.com/news-releases/chemomab-announces-enrollment-of-first-patient-in-phase-2a-study-of-cm-101-in-non-alcoholic-steatohepatitis-nash-301276524.html?tc=eml_cleartime CM-101は、CCL24に対する抗体です。同化合物は、非臨床試験でSTAM™マウスモデルを使用しており、STAM™マウスモデルにおいてNASHおよび線維化を改善したことをJHEP Reports誌で報告しています。 https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2589555919301582 今後、CM-101のさらなる臨床試験の結果が得られることにより、STAM™マウスモデルのNASH臨床予測モデルとしてのエビデンスが得られると考えられます。
本日は、当社NASH-HCC (STAM™)モデルのHCC関連データを紹介します。 今日における肝細胞癌(HCC)の原因は、B型・C型肝炎ウイルス感染に由来する慢性肝疾患ですが、近年の治療法進歩によりウイルス感染に由来するHCC患者は、今後、減少すると考えられています。 一方で、生活習慣の変化に伴いNAFLDおよびNASH患者が増加し、それらに由来したHCC患者の増加が懸念されています[1]。 HCCの発癌メカニズムには、様々な分子生物学経路が関与しています。 今回は、主要経路の1つであるWnt/β-catenin経路について、当社STAM™モデルにおける遺伝子発現データを紹介します。 ヒトHCCでは、しばしばβ-catenin遺伝子の変異が生じており、その下流シグナル活性化が報告されています[2]。 当社にて取得したRNAseqデータを用いて、STAM™モデルにおけるβ-cateninおよびその下流シグナルの遺伝子発現を解析致しました。 また本モデルのHCCフェーズでは、半数の個体にβ-catenin遺伝子の変異が認められました。 そのため、Wnt/β-catenin経路においてヒトと同様の遺伝子発現パターンを示すことから、STAM™モデルはHCCに対する薬効を検証する上で有用なモデルの一つだと言えます。 HCC研究では、単一モデルだけではなく複数モデルを組み合わせた研究が不可欠であると考えられています。 現在、癌領域の研究をご検討されている場合、本モデルを癌領域の研究に活用するのはいかがでしょうか。