2025.05.02

肝細胞の老化が肝細胞癌の発症に関与:シロリムスによる予防的効果を確認

2025年3月、当社顧客の Nottingham Universityの研究グループが『Human Cell』にSTAM™マウスを用いた試験結果を公表しました。肝細胞の老化(細胞老化)が肝細胞癌(HCC)の発症に関与する可能性が示されました。また、免疫抑制剤であるシロリムスが、老化関連分泌表現型(SASP)因子の抑制を通じてHCCの予防に寄与することが明らかになりました。

 

研究チームは、肝硬変およびHCC患者の肝生検サンプルを用いて、老化マーカーであるp16の発現を評価しました。その結果、p16の発現レベルが高いほどHCCの発症リスクが増加することが確認されました。さらに、STAM™マウスを用いた非臨床試験では、シロリムスを早期(4週齢から)および後期(12週齢から)に投与した群とプラセボ群を比較しました。その結果、早期にシロリムスを投与した群では、HCC結節の数および最大径が有意に減少し、SASP因子(TNFα、IL-1β、IL-2、CXCL15)のタンパク質レベルも低下しました。

この研究は、肝細胞の老化がHCCの発症に寄与することを示すとともに、シロリムスがSASP因子の抑制を通じてHCCの予防に有効である可能性を示しています。今後、ヒトを対象とした臨床試験が期待されます。今後もSMCラボラトリーズは、革新的な研究と高品質な非臨床試験サービスを通じて、医薬品開発を支援してまいります。

 

詳細な研究内容については、以下のリンクをご参照ください。

論文全文はこちら(Springer Human Cell誌)