2025.02.02

NASHモデルを用いたFXRアゴニストの薬効評価試験の実績について

本記事では、弊社が開発した世界初のNASHから肝癌を発症する病態モデルマウス-STAMモデルの評価実績について、その一例としてFarnesoid X receptor (FXR)アゴニストをご紹介致します。

 

FXRは、胆汁酸をリガンドとして作動する核内受容体であり、コレステロール代謝、糖代謝、インスリン感受性などの調節に関与しています。

そのため、FXRの活性化がNAFLD/NASHの治療に繋がると考えられ、治療薬の標的分子として注目され、これまでNovartis社のTropifexorを始めとする様々なFXRアゴニストの開発が行われてまいりました。

 

本モデルにおいても、Tropifexor (Novartis)、EDP-305 (Enanta)、Vonafexor (ENYO Pharma)などFXRアゴニストの薬効を評価した経験は複数件あり、その研究成果の一部は論文や学会発表として公表されています。

[Chau M et al. International Journal of Gastroenterology. 2019.; Hernandez E et al. Hepatol Commun. 2019.; Radreau P et al. AASLD. 2019.]

 

NASHは複雑な病態を持ち、その発症機序も不明な点が多いことから、ヒトの病態を完全に再現するとされる動物モデルは、今日に至るまで報告されておりません。
そのため、遺伝子改変モデル、特殊飼料誘導モデル、薬剤誘導モデルなど多数の動物モデルの中から複数種を用いてNASHへの効果を総合的に評価していく必要があると言えます。
実際、今回ご紹介したTropifexorやEDP-305においても、本モデルに加えCDAHFDやAmylinモデルといった他NASHモデルを用いて薬効を評価しております。

本モデルは、病理組織学的にヒトNASHと類似した組織像を呈することから、臨床試験の主要評価項目であるNAFLD Activity scoreや線維化陽性面積の定量が可能な数少ない動物モデルです。
また本モデルを用いた薬効評価試験は800を超え、FXRのみならず多種多様な分子標的薬の薬効を評価してきた実績がございます。